私が大学時代にワンダーフォーゲル部にいたころ、部室の本棚に妙なことを書いた本があった。
書名は忘れたが、山のあれこれを書いた登山家の本だったと思う。

その本には、赤道近くにある、南米エクアドルの火山でチンボラソ山(6,268m)こそ、エベレスト(8,848m)よりも地球の中心から最も離れた山頂を持つというようなトピックが書かれていた。
最初、「そんなアホな」と私は思ったが、よくよく読んでみればなるほど納得であった。
地球上の山の高さはジオイド面からの標高(≒海抜)を測るが、地球は自転によって「扁球」を呈しており、緯度90度の半径より緯度0度(赤道半径)の方が長いことが分かっているから、チンボラソ山の頂上のほうがエベレストの頂上より地球中心から遠いことになるのだった。
※ジオイド面と海抜と平均海水面とは少しずつ意味が異なるので、それぞれ注意が必要である。

Wikipediaの「チンボラソ山」の項によれば、「地球の中心からの距離ではチンボラソが約6,384.4㎞、エベレストが6,382.3kmとなり、約2.1㎞チンボラソの方が離れている」とある。

火星の最高峰である火山「オリンポス山」は火星の標高基準面から優に27,000mもの標高があるそうだ。
火星には海がないから海抜が存在しない。
地球だって、海がなければ、標高基準面は平均海底まで下げることになり、エベレストも、チンボラソもオリンポスには負けるが、相当の標高になるだろうと、私は思った。

そんなことを考えながら、きりたんぽ鍋をつついている。
今シーズン初の熱燗を傾けた。
良き哉、良き哉…