補助金や交付金を頂くには申請書を書かねばなりません。
申請書や、補助金を頂いた場合の実績報告書を作成するには、少しばかり技術が要ります。
公文書ですから形式が整っていないと突っ返されます。

日本は公文書の電子化(デジタル化)が遅れていると言われています。
それでもここ数年は電子申請の窓口が増えてまいりました。
昨今の新型コロナウィルスの流行が、さらなるお役所のデジタル化を進ませたように思います。

公文書には「様式」が定められており、その様式を所定のホームページからダウンロードして使います。
基本は「手書き」ですが、Word文書でアップロードされているのでパソコンで入力してハードコピーを郵送するというのが一般的ではありました。
よくみると同じ申請書様式がWord形式とpdf形式の二種類で用意されているようです。
pdfの様式は手書きの申請者を想定したものと考えられますが、いずれにせよパソコンとプリンターがないとダウンロードしてハードコピーを取ることすらできないのです。
pdfの様式の利用価値はあまり広くないと思います。
パソコンを持っている人は、たいていMicrosoft OfficeかWordをインストールしているでしょうからね。
ただね、インターネットしか使わない人の安いパソコンには定番ソフトがプレインストールされていない(だから安い)ので、ダウンロードしてもWord文書を開くことができません。
pdfならAdobe(アドビ)の無料ソフトを取り込めば開けますんで、これを開いてプリントサービス(コンビニとかスーパーマーケットにもある)でハードコピーを得ることができます。プリンターを持ってない人も結構いますからね。
私も、自分のパソコンにはOfficeが入っていませんから会社のパソコンを借りてやってます。そしてプリンターも持っていません。
キャノンの複合型プリンターがあることはあるんですが、プリンターの紙送りに猫の毛が絡んでどうにもこうにも動かなくなり、スキャナーとしてしか使えません。

補助金などをもらうためには申請書を提出して審査を受けて、認定されて初めて「お金を出してやる」という確約をいただくのです。
しかし、先に私どもが借金するか、自費で補助対象事業をおこない、成果を上げて「実績報告書」を提出し、「問題なし」の認定を受けて「全額の三分の二(二分の一のこともある)」が指定口座に振り込まれるのです。
これがほんとうに産業育成になっているのだろうか?
体力のないベンチャー企業が、自腹で必死に新しい取り組みをやって、なんだかんだとケチつけられて、あげくに満額ではなく、多くて三分の二、たいていは半分しか用立ててくれないのである。

まあ、愚痴を言っても始まらないわね。

補助金をもらえるという約束がなされると、補助期間が過ぎると直ちに「実績報告書」なるものを書いて、健全に予定通り「補助事業」がなされたかの審査を受けねば、補助金はもらえないのだった。
報告書は様式が決まっていて、やったことを包み隠さず書けばいい。
しかし、添付書類がやっかいである。
カネの使途を明確にせねばならないから、その証拠書類を集めて写しをとって、添付するのである。
業者に依頼した事業なら、その業者を選定した経緯の証拠として「相見積もり」の書面。
正式に発注した場合の「発注書」ならびに「納品書」もしくは「請求書」。
そして当社が、そのサービスなり物品を購入した、つまり支払った記録(領収書と振込証明)。
それから、「成果物」の証拠写真。
補助金で配布用チラシをつくったのならその現物と、配布先のリスト。
※少し前に、政治家が選挙のときに配る候補者のチラシを国費で作って、配らずに「塩漬け」にしていたことがあったために、本当に配ったのかの証拠がほしいそうだ。

それでね、こういった発注書や見積書、納品書、領収書なんてのは、顧客単位で様式も違うし、ハンコやサインがしてあるものだから、電子申請するなら電子化せねばならない。
だから書面のpdf化が必要なんだね。
郵送するにしても、ハードコピーを取ってそれを添付すればいいのだが、pdfにしておけばファイリングも電子化できて、私たちも助かる。ペーパーレス社会なんだから、いちいちハードコピーをとるのは時代遅れだ。
原本添付が基本の実績報告書も、まずWord文書で作って、pdf化しておき、そこに社長が署名捺印すれば原本の出来上がりだ。
売買契約書や秘密保持契約書なんかの作り方と同じです。

pdfにしなけりゃならないか、あるいは、改変されないように、しておいたほうがいいものがあります。
私の知っている技を少し披露しましょうか。
①Excelシート文書をpdf化する方法。
Excelを使っている人は、知ってるかもね。Excelシートのまま第三者に渡ると、パスワードでもかけていない限り、開いた人がセルの内容を変えることができちゃう。
そこでpdf化しておくと、そのような心配は少なくなるのです。pdfになると、それは単なる画像なので書き換えるということが、特殊なソフトを使わない限りできなくなるのよ。
文書の硬性が高まるのね。
pdf化したいExcelシートを呼びます。「ファイル」のタブを開いて「エクスポート」を選択し、「PDF/XPSドキュメントの作成」をクリックする。
すると(ファイル名)と(保存先)を訊いてくるから、打ち込んで「発行」をクリックすればpdf化されたExcelシートが指定したファイル名で保存先に作られます。
これは拡張子を変更する手段でもあるんだね。
この時注意するのはね、この操作をする前にExcelシートの印刷プレビューを見て印刷範囲を確認してほしいのよ。
ちゃんと印刷プレビューに文書が収まっていないと、pdfもそのまま欠けた状態で作成されますのでね。
pdf化とは「印刷」に等しいということを覚えてくださいな。
Windowsでは「仮想プリンター」として「pdfプリンター」が用意されていることからもうなずけます。

②pdf文書の分割と結合
一つのファイルネームのpdf文書に数ページにわたって文書が連なっているとき、そのそれぞれをばらばらにしたい場合があります。
四ページからなる一つのpdf文書があるとして、それを四つの文書に分けてそれぞれ独立した文書にするということね。これを「分割」といい、その逆が「結合」です。
I💛PDF』という便利なページがあるからそれを使ってみてね。

③pdf文書にあとから「通し番号」を入れる。
公文書の添付文書によくある指定で、グルーピングをして電子申請してほしいというのね。
A社との取引があったとして、当社とA社の見積もり、発注書、納品書、請求書、支払明細、成果物などをひとまとまりにして、「証票番号1」なら「1」を全部の文書に付番しろというのです。
証票番号とは、複数の補助対象事業の個別に対して付番されるものです。
それでね、pdf文書に最初から付番なんてされてないわけですよ、それにpdf文書は後から改変されないように、基本的に書き込みはできないことになっている。
それを敢えてしろと言うのだから理不尽な話です。
「Acrobat」という「Adobe」のアプリがあって、お金を払わないと使えない技が満載のアプリなんだけど、一部は無料で使えるものもけっこうあるんです。②でやった分割や結合も「Acrobat」でもできますんで試してみてください。
で、その無料の技に「署名」というのがある。これを使うと、pdf文書の好きなところに番号や署名を後入れできるんです。
まあ、会社にいるんなら原本をコピーして、自分で手書きで付番して再度コピーしたらええやないかということなんですが、リモートオフィス(かっこええね)ならこれを使うしかないのよ。pdf文書しか手元にないからね。
ハードコピーでもあればスキャナを使ってでもなんとかしますけれども。

④メール文書のpdf化
これはね、どういうときに必要なのかな。
私の場合、メールで仕事を依頼したりするから、発注や先方の見積もりがメールでやり取りしたものしか残っていないことがあるのね。
証拠書類がメールしかないとなるとそれをpdfにして添付するほかない。
まずねメーラーで目的のメールを呼びます。
メーラーの「保存」を選び、「HTML形式」をクリックします。
これをWordで開いてごらん。メールの書面がWordになったでしょう?
この文書を「名前を付けて保存」を選んで(PDF形式)で保存すればよろしい。

⑤成果物のpdf化
必ずそうしないといけないわけじゃないけれど、電子申請ならばpdf化して結合した文書にしたほうが送信しやすいと思います。
たとえば、補助金でホームページを作ったとしましょう。そのフロントページを成果物の証拠として報告書に添付したいでしょう?
どうします?スクリーンショット?それでもいいよね。png形式になると思うんだけど、ペイントで開いて保存すればいい。
もうひとつはGoogle Cromeなどのブラウザで目的のホームページを映し出し、ブラウザの「設定」で「印刷」を選択し、そのときの「プリンター選択」で「PDFプリンター」を選べばちゃんとpdf化されたホームページが保存されています。
成果物をスマホなどで写真に撮った場合、この写真を成果物の証拠として使いたいとします。
その場合は、Windowsの「フォト」を使う手もある。
これは「フォト」で写真を閲覧し、選択して「インポート」→「印刷」→「Microsoft  Print to PDF」を選んで(印刷)をクリックして名前を付けて保存すれば、JPEG画像がpdfになるよ。

これくらいかな。
私は会社の「知財&文書係」だからね、行政書士と司法書士と弁理士の真似事みたいなことをやってるんだ。パートタイムで。