三角関数の加法定理を導いたけど、これを使う場面が私の人生であるだろうか?
sin(α+β)=cosαsinβ+sinαcosβ
sin(α-β)=sinαcosβ-cosαsinβ
cos(α+β)=cosαcosβ-sinαsinβ
cos(α-β)=cosαcosβ+sinαsinβ
tan(α+β)=(tanα+tanβ)/(1-tanαtanβ)
tan(α-β)=(tanα-tanβ)/(1+tanαtanβ)

以上が昨日、私が導いた三角関数の加法定理である。

三角関数には「倍角の公式」など一連の「何倍角の公式」が存在する。
加法定理を応用した導出によって得られる。
まず倍角の公式はβ=αと置けばよい。
sin(α+α)=sin2α=cosαsinα+sinαcosα=2sinαcosα
cos(α+α)=cos2α=cosαcosα-sinαsinα=cos²α-sin²α
下図の単位円の直角三角形AOHから導かれるピタゴラスの三角方程式(sin²θ+cos²θ=1)を使うと、
ピタゴラスの三角方程式

cos2α=cos²α-1+cos²α=2cos²α-1=1-2sin²α
に変形できる。
タンジェントも同様に、α=βとして加法定理の式を使う。
tan(α+α)=tan2α=(tanα+tanα)/(1-tanαtanα)=2tanα/(1-tan²α)
これで倍角の公式はそろった。
派生として「半角の公式」および「三倍角の公式」があるが、倍角の公式にそれぞれβ=α/2および、β=2αを代入してやれば導ける。

加法定理の応用例としてもっとも意義のあるものは「積和の公式」および「和積の公式」であろう。
つまり積で表されている式を和の形にする、またはその逆の和で表されている式を積の形にする変換式である。
     sin(α+β)=cosαsinβ+sinαcosβ
 +) sin(α-β)=sinαcosβ-cosαsinβ
        sin(α+β)+sin(α-β)=2sinαcosβ
∴ sinαcosβ={sin(α+β)+sin(α-β)}/2

こういうものだ。べつに両辺を2で割る必要もないと思うのだが、教科書には2で割った形を乗せてあるようだ。
また互いに引いてやって、
sin(α+β)-sin(α-β)=2cosαsinβ
∴ cosαsinβ={sin(α+β)-sin(α-β)}/2

という形にもなる。
コサインの加法定理も同じように足したり引いたりして、
sinαsinβ=-{cos(α+β)-cos(α-β)}/2
cosαcosβ={
cos(α+β)+cos(α-β)}/2
積和の公式が得られる。

和を積に直す公式は少し工夫が必要で、α+β=A、α-β=Bとおいて、α=(A+B)/2, β=(A-B)/2を導いて積和の公式に入れてやる。
たとえば、積和の公式の、
sin(α+β)-sin(α-β)=2cosαsinβより
sinA-sinB=2cos(A+B)/2sin(A-B)/2


このようにすればよい。

FNの高校物理のホームページ「三角関数の公式(図的理解)」に幾何学的説明がなされているので、参照していただきたい。