嫁が炊飯器の内釜でコメを研いでいるのを夫が見とがめて「おまえはガサツな女」だと決めつけたということがネットで話題になっているそうだ。

世の中には米のとぎ方に二種類あるらしい。
① ざるでコメを研ぐ
② 炊飯器の内釜でコメを研ぐ

①は料亭など大量のコメを炊かねばならない場合、炊飯器の内釜でコメを研ぐことが物理的に不可能だから取られる方法である。
かまど炊きでも「羽釜」を用いていたころは、羽釜が大きな場合にはそうしないと女手では釜でコメを研ぐことが無理だった。
しかし、小さい羽釜なら鉄製であったので、その中でコメを研いでいたと、私などは記憶しているし、「まんが日本昔ばなし」でも羽釜の中でコメを研いでいる場面があったと思う。私たちがコメ研ぎに使うような目の細かいステンレス網のざるなど昔は望むべくもなかったはずだ。

決して、ざるでコメを研ぐのが上等な手法とは、私も思っていない。

②は、炊飯器が普及した頃から当然におこなわれていたもので、そのうち、内釜にフッ素加工など、化学的な内面処理がほどこされるようになってから、内面コートがダメージを受けないように製造者のほうから「内釜でコメを研がないで」とアナウンスした経緯があったそうだ。
私も、使用説明書にそのような注意書きがあった記憶がある。
ところが、近頃は内面コーティング技術も発達して傷つきにくくなり、また精米技術の向上から水でコメを研ぐことがさほど重要でなくなったため、内釜でコメを研ぐことに問題がなくなった。
さらに、無洗米も普及し、内釜でコメを研ぐというのが、「気持ちの問題」とまでに、その意義が軽薄になったこともあり、内釜でコメを研ぐことで「がさつ」などと、蔑(さげす)まれる筋合いはないのである。

だいたい夫が妻の家事のやり方にいちいち口を出すこと自体、料簡の狭いことではあるまいか?

私は、コメのごみを除くのに内釜で軽く2,3度水を変えて洗う。
無洗米ではないので、ゴミや虫が入っていることがたまにあるのである。
酒米でもないので「研ぐ」のではなく、すすぐ程度である。
コメを洗いすぎると、うまみが薄れるといううわさだ。
たしかに無洗米のほうが甘みがあるような気がする。

いずれにせよ、コメの洗い方が「がさつ」というなら、そう言ったヤツにコメを研がせればいい。
人にやらせておいて、文句だけ言う輩(やから)は即退場だ。まったく。