・竹里館では何をしてらっしゃるんですか?
ご覧の通りや。本に埋もれとる。手当たり次第に本を食って生きてんね。

・ここでは「なおぼんR」とは異なる人格のようですね。
さよう。月舟斎(げっしゅうさい)と号しておる。横山月舟斎や。

・なるほど。それでおひげもたくわえていらっしゃる。
まぁ、そういうことはどうでもええがな。

・ご自身を「寒山・拾得」になぞらえておられるとか。
その話も恥ずかしい限りで、「竹里館」になら「寒山拾得」が似合うだろうという、浅い考え、つまりは幽玄への憧れみたいなもんや。世捨て人やな。

・漢籍が多いようですね。
『唐詩選』とか『白氏文集』やな。その辺のは。ここの『文華秀麗集』とか『懐風藻』は日本のもんやで。『紅楼夢』と『金瓶梅』もあるな。なんやしらんけど、若い頃に漢文に凝った事があってな。頼山陽なんかを読んどったわけや。「べんせぇ~しゅくしゅくぅ、よるかわを~わたるぅ」てな具合にな。

・こっちはハードボイルド小説ですね。
話があっちこっちに飛ぶな。そういうのも好きなんよ。内藤陳の影響かねぇ。笹沢左保の『木枯し紋次郎』シリーズもええよ。酒飲みながら読むのに一番や。あそうそう、この早川の『ナポレオンソロ』も面白かった。あとな、第二次世界大戦ブックスやね。これはお勧めや。

・明治の文豪のものも揃ってますね。
教養やろ。そんなもん。ここまで本、集めておいて、漱石の『草枕』とか、太宰の『人間失格』も読んだことないとか言われへんがな。あ、太宰の『津軽』はお勧めする。独歩の『武蔵野』なんて、つまらんでぇ。けど読んだ。『破戒』も暗いなぁ、けど『暗夜行路』よりは読めた。だいたい志賀直哉の文章はダラダラやねん。『小僧の神様』みたいな短編がええな。白樺派は好きでもないのに実篤とかあるやろ?読んでまうねんなぁ。そんでもな、歌壇、俳壇はええな。あの連中の生きざまがおもろい。尾崎放哉なんか、ぶっ飛んでるでぇ。与謝野晶子もそうや。石川啄木も、どうしようもない男でな。働かんと、借金ばっかりこさえて、嫁もほったらかしで、金田一京助に助けてもらわんかったら野垂れ死によ。『一握の砂』はそんなグズの啄木の血ぃや。読んでみ。山頭火はしかし、人に恵まれたな。嫁も息子もできた人や。あんな旦那でもな、陰日向で支えよる。山頭火みたいに生きてみたいね。正岡子規、すごい男や。句もええけど、『病臥漫録』とか『墨汁一滴』を読みつつ、司馬遼太郎の『坂の上の雲』を読むわけや。ああ無情やね。

・語らはりますね。さすがに。
なんぼでも語りますよ。今日は泊っていくか。ユイスマンスとか稲垣足穂、安倍公房についてもうちょっと話たげよ。

・いえ、結構です。また今度。
ほうか、ほな、またおいで。