電場の中で点電荷どうしが及ぼし合う力について、私はとても遠回りをしてきました。
まず電場の把握が、もうひとつわかっていなかった。
その反省を込めて、備忘録のつもりで書いていきます。ちょっと退屈かもよ。

電場はそういう、世界というか空間で、電気工学では「電界」と呼んでいます。
これは私たちが生きている空間の「重力場」を思い浮かべていただいたらほぼ想像できると思います。

電場が「真空か、大気中なのか」という議論も避けては通れないのだけれど、まずはどっちでもいいという考え方で進めます。
とにかく数学的には、電場は「重力場以外の」二次元平面または三次元の空間です。
最初は、電場を二次元平面で考えていきます。

唐突ですけど、電場は、定義なんですね。
物理学での決めごとなんですよ。
電荷が+Qクーロンの点電荷(体積や面積を考えない球もしくは点で、電荷だけが存在する)を一つ、電場平面(空間)に置きます。
その点電荷から同心円(球)に電場が広がるのです。
点電荷がなければ電場も存在しません。それは、ただの空間です。
点電荷に近いほど、電位が大きく、それは等電位線で結ぶと同心円(球)を描くでしょう。
電場には電位の高い方から低い方に力が働きますが、そこに点電荷がひとつしかない場合、点電荷に電場から均等な力(静電気力)が点電荷の電荷に応じて及び、点電荷は見かけ上、止まっています。

では、二つの同じ符号の電荷+Qクーロンの点電荷が距離rメートルを隔てて電場を作っている場合を考えます。

電場を慣習でEで表します。これはベクトル量であることを念頭においてください。
つまり電場は力学で言う力(ちから)なんですから。
その定義は、+1クーロン当たりの電荷が受ける静電気力(ニュートン)で「クーロン力」とも言い、その単位は「Newton/Coulomb」です。
定義式は次の通りです。+qクーロンの点電荷が受ける静電気力(クーロン力)Fは電場Eq倍です。
F=qE …①
ベクトルなので、F=qEと太字で書かねばならない場合もあります。なお電荷の電気量qはスカラー量です。
この二つの点電荷がそれぞれ+Q,+q(クーロン)の電荷を有して、r(メートル)の距離を隔てているとき、その及ぼし合う力Fは、クーロンの法則により、
クーロンの法則…②
と表されるのでしたね(kは比例定数)。
そしてこういう関係を「逆二乗の法則」と呼び、万有引力の式に通じるものがあったわけです。

①と②から
電場…③
が導けますね。

で、視点を変えて、二つの点電荷のうち一方を、無限遠点に点電荷を置いた場合を考えます。
つまりね、もはや両点電荷の影響力が及ばないぎりぎりのところを無限遠点とするんです。
そして無限遠点を基準にして、少しだけもう一方の点電荷に近づけると影響を受けます。
この例の場合、互いの点電荷の符号が同じなので、斥力が働くのでした。
その斥力に抗(あらが)って、一方の点電荷をもう一方の点電荷に近づけてrメートルまでもっていきます。

この時の、点電荷に加えた外力-Fがする仕事Wに注目します。力の向きに注意してください。
rメートルで止めたとき、この点電荷には外力に等しい抗力Fが働いているはずです。
式を立てやすいように、少し補足します。
両点電荷を結ぶ直線を内分する点Pを定め、点Pと固定した点電荷A(+Qクーロンとする)までの距離をrとし、可動点電荷B(+qクーロンとする)は点Pから無限遠点∞まで動けるとします。
その際のPでのポテンシャルエネルギー関数(位置エネルギーとも)Uの変化が仕事Wなのだと考えて、距離∞からrまで点電荷Bを押し込んでいく仕事関数を積分していきます。
このとき基準を無限遠点に取ると計算上の都合がいいのは、クーロンの法則が逆二乗の法則なので分母に∞を入れた時に項が「0」になって消えるからです。ゆえに変数xを「r」まで積分します。

ポテンシャルエネルギー関数U(x)から外力の仕事Wを求めると、
U(r)-U(∞)=W …④
この仕事関数は線形でない(非線形)なので、積分しないと計算できません。
電場位置エネルギー…⑤
電位積分値…⑥


となって、
W=U=kQq/r  …⑦

負号がつくかどうかが、私もあまりよくわかっていませんでしたが、要するに、最初に点電荷を正電荷としたから、負号がつかないのであって、斥力についてのみ議論するのであるから、点電荷が負号同士でも正になってしまうし、いずれにせよ負号はつかないのです。
もっとも、各点電荷が-Q,+qなんていう場合には負号がつきますが、ポテンシャルエネルギーを論じる場合に、引力が生じる設定をすると、点電荷が離れていく方に動かすことになり、無限遠点を利用することができません。
それ以外に理由があるのかもしれないけれど、私は知らない。

なお、上の積分は、以下の公式によりました。授業で使う白板ソフトとペンタブで書いたので見づらいですが。
分数積分


ここで、また定義をします。
電場内の点電荷のポテンシャルエネルギーUは、+1クーロン当たりのポテンシャルエネルギーとして「電位」を定義します。
このポテンシャルエネルギーUは、力学では「位置のエネルギー」と呼ばれるものだと説明しましたが、電場では、特に電荷が持つ「静電ポテンシャル」と呼ぶこともあります。
定義式は、+qクーロンの点電荷の電位をVとすれば、そのポテンシャルエネルギーUは、
U=qV …⑧
となります。
⑦と⑧から、電位Vは、
V=kQ/r …⑨
が導かれます。

電場Eにおける静電気力Fがした仕事Wは、静電気力Fを積分して求められ、それは電荷のポテンシャルエネルギーUがした仕事にほかなりませんでした。
静電気力Fと電場Eはベクトルでしたが、ポテンシャルエネルギーUと電位Vはスカラーでした。
W=U=V …⑩

電位は、単位が「ボルト」でおなじみですが、同じ単位で、異なる電気量(クーロン)を持つ点電荷間の「電位差」を「電圧」と呼びます。
電池の場合「起電力」と呼んで、ポテンシャルエネルギーそのものですから、これもまた「ボルト」という単位で表します。

電子1個の電気量を電気素量といいますが、これは約1.602×10⁻¹⁹(クーロン,C)という小さなものです。
1C=1A・s(アンペア・秒) …⑪
これは定義です。
1クーロンとは、1アンペアの電流が1秒間流れたときの電気量ということ。
するとね、次のようにも言い換えられる。
1アンペアとは、6.24×10¹⁸個の電子が1秒間に流れた(=1クーロン)ことにすると定義したと。
(言うまでもないですが、この個数は電気素量の逆数です)

この定義は新しく、去年(2020年)から採用になったものです。