私は電信(モールス)をストレートキー(縦振れ電鍵)で叩いてましたから、けっこうくせがあって、先輩局から注意されたりしてました。みなさん、パドルから電信に入った方が多く、ストレートキーを使ってると「聞き取りにくい」と言われるのです。遅いし。
パドルとキーヤー

ストレートキーなら米軍というか欧米型のほうが叩きやすいらしい。日本の、逓信省式とか防衛省式の大理石なんかの上に乗っかっている、御大層な電鍵は、姿勢を正しくして、反動式だったかな、腕と手首で叩くんです。

米軍も確かに基本は姿勢を正して叩くんだけど、野戦の塹壕の中などでは、そんなこと言ってられません。

そこで考え出されたのがパドルなんですよ。

パドルにはキーヤー(エレクトリックキーヤー)という電子回路が必要なんですが、現在の電信送信のできる無線機には内蔵されています。私の無線機は昭和のものなので、ストレートキーを直接つなぐタイプで、キーヤー回路を自作するか、市販品を買って取り付ければパドルが使えました。

一からパドルを始めるのですから、キーヤーとパドルをセットで買いました。ただしこのキーヤーは無線機につなげません。練習用です。

パドルは蝶の羽根のようにプラスチックの板が二枚あって、左が短点、右が長点を担います。左のパドルを押すと、規則正しい短点が、押している限り自動で送られます。右も同じで、押している限り規則正しい長点が送られます。ストレートキーでは考えられないようなきれいな符号が送られるのに驚きです。もっとも私のストレートキーの操作がひどかっただけですが。

パドルはストレートキーのつまみとは役割が違うようです。ストレートキーのつまみは押して、離すことで信号を生成するものですが、パドルは押すだけです。右手使いなら母指が短点、人差し指が長点のパドルを担い、両パドルを挟むように持ちます。

挟んでしまうとスクイズ法になり、長短の混じった符号を打鍵する際に、どうしてもマスターすることになります。

集中しないと、符号が勝手に送信されるので、離すタイミングを会得せねばなりませんが、キーヤーのスピード調整つまみを遅くして慣れていけばいいと思います。最初から早いのはダメ。

パドルを離すタイミングを練習するには短点のみの符号「e,i,s,h,5」と長点のみの符号「t,m,o,コ,0」を確実に打てるようにします。これがなかなか難しい。ストレートキーにはない難しさがあるのだけれど、慣れれば、きっと誰にでもできるのだと思う。そうでなければ、パドルがこんなに普及するわけがない。ストレートキーを触ったことがないCWerも多いらしいから。

実際に触ってみると、楽しい。こんなにきれいなモールスが叩けるなんて、感激です。それは電子回路がやってくれてるんですから、当たり前なのですが。

ストレートキーを叩けて一人前と言われた時代に育ち、上級資格の実技試験に愛用の電鍵を持参して挑んだらしい。それはパドルじゃなかったはず。

すぐに、実技試験は受信のみになりました。私たちの頃はそうだった。それが今は実技が全資格において免除となり、モールスは過去の遺物になろうとしています。

軍か、アマチュア無線でしかもはやモールスは使われていません。そのうちアマチュア無線では、モールスは完全に趣味の世界であり、やらない人の方が多い。アマチュアが自主的に守らない限りモールスは死滅するでしょう。

モールスの良いところは、①低電力で弱い信号でも聞き取れる、②言葉の壁がないから世界中のアマチュア局と交信できる、③回路や装置が簡単。もっとも簡単なモールスの利用は懐中電灯とスイッチだけ、またはホイッスルかリコーダーでも通信できる。もちろん免許も不要。④目の不自由な人でも交信できる、⑤触覚だけで会話ができることがある(映画『ジョニーは戦場へ行った』参照)

コロナで昭和レトロが流行っているとか。モールスもアマチュア無線も昭和レトロと言っていいんじゃないですかね。特にコロナの世の中でアマ無線は好適じゃないですか。直接会わないんですからね。脳トレにもなります。お勧めします。