玄関の生け花を新しくして、仕事を始めることにしました。
2022正月生け花

センリョウ(赤い実の花木)とニホンスイセンが庭にあったので、刈り取ってきて、市販の菊花と若松、白梅、ハボタンに足しました。

「初釜」じゃないですが、お湯を沸かします。

アルコールランプ加熱
これから作る製品に「滅菌湯冷まし」が必要なんですね。アルコールランプで100㎖ほど水道水を沸かします。
この三脚の脚が短いでしょう?これがアルコールランプ用なんですよ。
学校の実験室にあるのは、もう少し脚が長いタイプだったと思いますが、あれはガスバーナー用なんです。
あまり先生はそういうことに気遣っていなかったみたいですが、バーナー用だとアルコールランプの火が遠くなるので、お湯が沸きにくいから適当な台に乗せて高さを稼いでいたと記憶しています。
三脚の下に敷いている白い板はシリコン樹脂の鍋敷きです。
その下が学童用の画板で、ノートパソコンのキーボードの上を有効活用するために乗せてますが、さすがに三脚が熱くなるので、この鍋敷きを敷いているんですね。
画板はけっこう使えまして、私のように机が置けない(作業台はすでに顕微鏡と工作金物でいっぱい)場合、ノートパソコンの場所を活用したいわけ。
するとこの学童用画板が重宝します。キーボードに乗せるだけで、机に早変わりするんですからね。
上で書き物をしたり、物を乗せても、キーが押されたり、タッチパッドが反応することもありません。
ノートのキーボードのキーは、折りたたんだときに画面に当たらないように一段低く作られているからです。
画板
こんな感じで、作業スペースが確保できます。そして実験台にもなるのでした。
パソコンを使う時は足元に画板を下ろし立てかけておきます。
慣れれば屁の河童です。

計量
画板の上で計量もできます。
100分の1グラムで量りたいので、上皿天秤は使えませんから、アマゾンでデジタル天秤を買いました。

液体を量るのに重量でいくときは天秤ですが、容量でいくときはピペットを使いますね。

その場合、ゴム球や安全ピペッターを使わねばいけません。
ピペットのガラス管の端から口で吸い上げる人がいますが、あれはイエローカードです。
もし毒物とか劇物ならどうするんですか?

吸い上げる液が水とかで口に入ってもいいなら、いいじゃないかと思われるでしょうが、そうじゃない。
口に入った液が戻るときに唾液で汚染されてしまうから、実験に使えなくなるのです。

かならず安全ピペッターなどの補助具を使いましょう。
安全ピペッター
これが安全ピペッターです。
A,S,Eの刻印があるところを押すと「弁」が開きます。つまり「弁」が内装されていて、押さない限り閉じています。

最初に、A弁を人差し指と親指で強くつまんで押しながら開き、もう一方の手でゴム球を押してゴム球内の空気を抜き、Aから指を離すと閉じるのでゴム球は凹んだままになるはずです。
次に、ピペット差し込み口にピペットの後部を差し込みます。
吸い上げたい液体にピペットの先端を差し入れ、S弁を人差し指と親指で強く挟み、開きますと、自動的に液体を吸い上げるはずです。
適当なところでS弁を閉じ、目盛りを読みます。目盛りの無いところまで吸い上げたのなら、E弁を今度は指で挟んで開き、液面を目盛りのある場所まで下げます。
つまりE弁を開くことでで排液させるんですね。

A弁(Air弁)→ゴム球の空気を抜く弁で、減圧状態を作るために備えてある。
S弁(Suck弁)→吸い上げるために使う弁
E弁(Enpty弁)→大気圧に復圧して排出して空にするための弁

安全ピペッター使用

このようにして使います。
私のピペットは「駒込ピペット」ですが、定容の「ホールピペット」や目盛りのある「メスピペット」でも安全ピペッターは使うことができます。
「駒込ピペット」の場合、専用ゴム球も販売されているので、そちらを使う方が簡便です。

安全ピペッターを使う際に注意することは、吸い上げすぎて、ゴム球の中に薬液を吸い込んでしまわないようにすることです。
安全ピペッターは基本的に洗えないので後々困ります。

それから、ピペットに安全ピペッターをつけたまま立てかけたりすると頭でっかちになって倒れやすくなるので、かならず安全ピペッターをピペットから外して一時置きしてください。手間ですが、仕方がないのです。

こういった実験操作は、義務教育で教えないといけないのに、安全ピペッターを知らない中学生がいるので驚きます。
撹拌棒(かくはんぼう)の代わりに温度計を使うのもいけません。上の写真でビーカーに温度計を差し込んでいますが、あれは温度を測るためだけに使っています。
攪拌しなければならない時は「ポリスマン(アメリカの警棒に似ているため)」といってガラス棒に黒ゴム管を先端にはめたものを使うとビーカーを割らずに済みます。
ただし「ポリスマン」は水溶液系の攪拌だけに使えるもので、有機溶剤を含むものや、過マンガン酸カリウム水溶液のようなゴムを侵すものには使えません。

アルコールランプを使う際に注意することがあります。
それは「芯」に関することです。
これらの「芯」が傷むのは、燃えてしまうからです。
燃やさないようにすることが大切なんですよ。
何言ってるかわかんないですか?

アルコールランプの芯から炎が発生しているところをよく観察してください。
芯の先が少し焦げているかもしれませんが、芯は燃えていないんです。
もし燃えていたら芯なんて、すぐに燃え尽きてしまいます。
そこがロウソクの芯と違う所なんです。詳しくはマイケル・ファラデーの『ロウソクの科学』をご覧ください。
ロウソクでは、ロウが燃えてロウソクが短くなっていくときに芯も燃えて短くなっていくから最後まで燃えるんですね。

じゃあ、どうしてアルコールランプの芯が燃えてしまうのかと言うと、燃料切れを起こしたまま火が消えた場合です。
燃料が無くなると、芯が燃えるほかないからです。
ゆえに、燃料をたっぷり入れて燃料切れを起こさないように注意すれば、芯は長持ちします。
ロウソクでは、炎が不完全燃焼を起こすことで明るい光量を得ています。
つまりロウは完全には燃えないんですね。ろうそくの炎の上にガラス板をかざしてみてください。真っ黒な煤(すす)がいっぱいつくはずです。燃えカスの炭素が煤になっているんです。
ただ、和ろうそく(ハゼの実から取るロウ)は煤が出にくいらしいです。

ところがアルコールランプのエチルアルコールはほぼ完全燃焼しています。
キャンプ用ランタンも専用の液体パラフィンを使うとホヤに煤がつきにくいのですが、アルコールランプよりは不完全燃焼です。だから明るいのです。
昔は灯油をこういったランタンに使っていて、だから「灯油」と呼ぶのですが、かなり煤がホヤについたので、ホヤ磨きが子供の仕事になっていた家も多かったと聞きます。

完全燃焼の炎はあまり明るくありません。ガスレンジの火も暗いです。
ところが明治時代のガス灯の火は明るかったそうです。不完全燃焼させていたんですね。

余計な話でした。

とにかく、こんなようにして私の仕事が始まったのです。