マーロン・ブランドと言えば映画「ゴッドファーザー」でしょう。
この作品で、アカデミー主演男優賞を受けたのに「人種差別への抗議」として拒否したのは有名ね。
彼の冷徹な演技は他の追随を許さなかった。
※もうひとつ主演作を挙げるとすればコッポラ監督の「地獄の黙示録」だわ。ベトナム戦争の際、米軍のカーツ大佐の謀反で建国された国を滅ぼすために、彼の暗殺を命じられたウィラード大尉を演じてるの。名曲「ワルキューレの騎行」でヘリの機銃掃射が圧巻です。

マーロン・ブランドは、アマチュア無線家としてもアメリカでは知られていた。
たぶん当時は「ノビス級」といって、日本の「電話級アマチュア無線技士」程度の資格を持ってたんでしょう。
※今はいずれも廃止された資格です。
コールサインはKE6PZHだって。
もっとも、交信した人は、相手があの「マーロン」とは気づいていなかったでしょうけど。
名前をフランス系に変えてたらしいから。

難しい俳優さんだったようで、とにかくギャラが高い。
そんでも演じる能力には天性のものがあって、どの映画監督も使いたがったけれど、うまくいかないことが多かった。
すぐトラブルを起こすし、台詞を覚えないという悪癖もあった。
「ゴッドファーザー」を観る限り、性格俳優としてはたいしたもんだったと思うよ。

反抗的な態度は子供のときからで、筋金入りのワルだった。
でも思想的には一本、筋の通ったものを持っていて、人種差別にはとことん戦った。
ご両親がアル中で粗暴だったらしいのね。

テネシー・ウィリアムズの「欲望という名の電車」の舞台で彼は俳優として見出されるの。Tシャツを普段着に(そのころは下着)着て舞台に出たのがかっこよくって、観た人は、みんなTシャツを着て表に出るようになったそうよ。
今じゃ、当たり前のことだけど。

学はないけれど、頭のいい人だったんだと思う。
やっぱり生い立ちからくる荒れた性格が、彼を自ら貶めていくのね。
それでも影響力は衰えず、アメリカを代表する映画俳優と言っても言いすぎじゃないと思うわ。

日本でも在りし日の川谷拓三さんが、俳優を目指したきっかけはマーロン・ブランドの「乱暴者」を見たからだと言うておられましたっけ。