リン(燐)は生物にはなくてはならない元素であることは疑う余地がありません。
死体から出る「燐光」が「人魂(ひとだま)」だという説もあるようです。
そうそう、死体と遺体の性別をみなさんご存知ですか?
「男はしたい(死体)、女は痛い(遺体)」だそうです。
下ネタでしたぁ。

生体内のエネルギー伝達物質のアデノシン三リン酸、核酸における遺伝子の骨格となるリン酸エステル、脳神経細胞のリン脂質、骨格のヒドロキシアパタイトなど広範囲に私たちの体に分布しています。

そういうことから、地球の燐(りん)の存在量が、生態系バイオマスの限界量であるとされます。
地球の燐を使い尽くすと、もはや生物は次の世代を作れず、今を生きることもできません。
燐は、バクテリアやウィルス、菌類、動植物いずれにも必要不可欠です。
燐は姿を変えてあらゆる生物を作っているのです。
生物の爆発的増加といっても、燐の量を超えることはできないから、人口爆発もおのずと限界があるのです。

燐の循環は、動植物の遺骸から、鳥類の糞尿から、土壌に入り、植物に吸収され、食物連鎖で動物に取り込まれ、はたまた動物同士の食物連鎖でも生体に取り込まれる。
鉱物としては燐石灰があり、これは海へ溶解したリン化合物や、かつての鳥類の糞尿の堆積物です。

燐の話はそれくらいにして、古生物であたしが好きなものについて書きましょう。

オルソセラスとアンモナイトです。

アンモナイトを知らない人はいないでしょうが、オルソセラス(直角石)はどうでしょう。
アンモナイトは貝殻をもっており、イカやタコの祖先だと言われています。
アンモニアの語源にもなった生物です。
イカ臭かったんでしょうか?

そうじゃなくって、もちろん古代エジプトのアンモーン神が持つ渦巻き状の角(ヒツジの角)のようだからアンモナイトって言うんだけどね。

それよりもオルソセラスでしたね。
約四億五千万年前のオルドビス紀の頭足類です。
これはね、アンモナイトの貝殻をほどいて(?)伸ばして槍のように長くとんがらせたような生物なんですよ。
そして、オルソセラスのほうがアンモナイトの先輩になります。
ところがオルソセラスの殻は、かように長く、折れやすかったんでしょうね、生活しにくいことから絶滅してしまうんです。

約四億年ほど昔のデボン紀にもなるとオルソセラスの貝殻を渦(うず)に巻くやつらが進化してきました。
それがアンモナイトだったのです。

途中、アンキロセラスという巻き方が不規則というか、ゆるいものもいたようです。

巻貝の発生もこれとよく似た理由からそうなったのではないでしょうか。

たとえばツノガイというまったく巻かないサイの角を細くしたような貝がいます。
マダガスカルのほうに全長二十センチメートルぐらいになるものもありますが、今は、ほとんどごく小さいものしか生息していません。
大きいのもいたはずなのに、破損しやすかったのでしょうかね。
だから、彼らも生き延びるために巻き始めたんだと思います。
巻けなかったツノガイは、小型化して、文字通り「細々と」折れにくく進化して今に至っているのでしょう。

ヘビガイという巻貝にしては発生時はコイル状の、後に不十分な巻き方の貝がいます。
この、ヘビガイなんかは、アンキロセラスのようにツノガイから巻貝になるまでの中間的な存在なのかもしれません。


今から一億年ほど昔の白亜紀にはアンモナイトは巨大化して、隆盛を極めました。
しかし、今はノーチラス(オウムガイ)やフネダコ以外は残っていません。

そしてイカやタコはじゃまな殻を捨てました。
今や、イカもタコも、すばしっこく、千変万化の変態も可能で、知能も高い種へと進化したのです。

あたしは寿司ネタのなかでイカがいちばん好きなんですよ。
イカ臭いあなたのも…