心理学者のエドワード・ソーンダイクというアメリカ人がいた。

この人は、学習とは試行錯誤の賜物だという理論を打ち立てたのです。

有名な実験に「ネコの問題箱」というものがあります。
Thorndike's cat experiment. Image borrowed from: History of Psychology: American Behaviorism. Click on the picture to follow the link.
http://teorije-ucenja.zesoi.fer.hr/doku.php?id=chunks:thorndikes_experiment

この図は彼の考案のケージですが、外側に餌を置いておきます。
ネコはそれを食べたいがために、手を出そうとしますが、ケージはある仕掛けで、ドアを開けなければ希望はかなえられない。
ネコはいろんな部分を触ります。
ついに錘のぶら下がっている紐に触れ、それを引っ張ることによってドアが開くことに気づきました。
目出度く、ネコは餌にありつくのです。
何度か経験させると、このネコはためらいなく、ドア紐を引いてドアを開け、まんまと餌にありつくようになります。

これは、今日(こんにち)ひろく「ネコが学習した」と表現される事象です。
ソーンダイクが初めて、理路整然と学習とは試行錯誤の積み重ねであり、その経験が「心地よい」ものであればあるほど、また反対に「不快なもの」であればあるほど、早く確実に学習するものだという結論に達するのでした。

学習成果は達成速度として計量され、その速度が速いほど、「学習強度」が大きいという計量にもなるのです。
こういったことはみなソーンダイクの業績です。

ヒトに当てはめると、どうでしょうか?
学習するモチベーション(動機付け)の大きさは「学習意欲」と言えます。
学習意欲が高いとは、学習強度が高いのでしょう。
得られる結果が非常に「心地よい満足」を与えるのか、反対に「二度とそんな目に会いたくない」という気持ちを与えるのかで学習強度が決まります。

宮里藍ちゃんのモチベーションの維持が難しくなって引退を決意したことは、実はこういう科学的な根拠があったのです。
ご苦労様でした。
また新たなモチベーションを見つけて彼女はまた、進みだすのでしょう。