小学校のとき、五、六年生は「持ち上がり」と言って、担任の先生が変わらない制度でした。
だから、クラスメイトも変わりません。
二年間、同じ顔ぶれで過ごすんです。

11~12歳と言えば、物心のつく頃で、林間学校とか修学旅行などのイベントが重なる時期でもありました。
家族と同じくらいに親密な仲間意識も芽生えます。

そんなクラスに、かっちゃんという男の子がいました。
彼は、昆虫に詳しく、昆虫博士の異名を持っていました。
かっちゃんはまた、スケベなんで、女子から、蛇蝎(だかつ)のごとく嫌われていました。
スカートめくりなんか可愛いもんです。
ヤツは、スカートの中に入っちゃうんですから。

あたしは、ずっとジーンズで過ごしてましたんで被害に遭っておりませんでしたけど。

性教育のときも、彼が主役です。
「せんせ、人間はセックスするけど、犬とかはなんで交尾っていうんや?」
先生は、一瞬、とまどったようでしたが、すかざず
「人間にはしっぽがないから、交尾とは言わんの」
「あ、そっか」
かっちゃんは、にこりともせずハナをひとすすりして、納得した様子でした。
担任の先生は、三十前の若い女の先生でしたけど、うまい切り返しだったと思います。

かっちゃんは、プールの季節になると、着替えの時に必ず、海パンを履かずにフリチンで教室を走り回るクセがありました。(クレヨンしんちゃんを地で行くような子でしたね)

女子はきゃあきゃあ言って騒ぐから、よけいにかっちゃんが面白がって、自慢のモノを振り回します。
振り回しているうちに、おっきくなって、右に左にパチンパチンと音が鳴るんですよ。
「サイテー」と女子から大ブーイングです。
「エッチスケッチワンタッチ」とはやし立てたり、男の子は笑いこけています。
しまいに、かっちゃんは先生にお尻をひっぱたかれ、「はよ、海パン履け」と怒鳴られます。

プールの授業の前は、決まって、戦場のような騒ぎになりました。

オープンというか、家庭的というか、あたしには、かっちゃんや、ほかの友達も兄弟のような感じがしてました。

でもね、六年生の夏、かっちゃんは変わりました。
もうフリチンで走らなくなりました。
なぜでしょう?

うわさでは、「生えて」きたらしいんです。

男の子って、ほんと、バカで、どうしようもない生き物ですね。

チョウチンアンコウのオスのように、メスの臓器の一部に成り果てておしまい!

臓器(性器)に手足の付いたものがオスだとしたら、世の中の性犯罪の大部分は致し方のないことなのかもしれませんが。