年の初めに飛び込んできたのがカルロス・ゴーン氏が密かにレバノン入りしていたニュースだった。
私は、昨年の暮れに秋元司議員が例のカジノ問題で収賄の疑いで東京地検特捜部が動いたのを見て、その前の年の同じころにカルロス・ゴーンが東京地検特捜部にしょっ引かれて拘置所暮らしになっていたことを思い出していた。
「東京地検特捜部には年末年始がないんだなぁ」と憐れんでいた矢先だった。

冷静に考えて、なんで保釈されて監視下に置かれているゴーン氏がまんまと日本から出国してしまったのか、そこが疑問である。
ずさんの謗(そし)りを免れまい。

彼のレバノン入国には、レバノン政府の協力があったとかなかったとか言われている。
日本のゴーン氏の弁護団も知っていたのか、信用されていなかったから袖にされてしまったのか、煮え切らない態度だった。
要するに、日本政府も日産もゴーン氏に舐められていたのだろう。
日本の出入国管理局は、出国に甘く、入国に厳しいと言われているから、こんなことになったのだろう。
「去る者は追わず」であり、「来るものは拒む」のが日本政府の態度だ。
厄介払いの国民性が出てしまったようだ。

江戸時代に「入り鉄砲に出女(でおんな)」という制度があった。
鉄砲の出入りを取り締まるのは治安維持のために必要なことだが、出女を取り締まるのはどういう意味があったのか?
これは大名の妻女を江戸幕府が江戸に留め置いて「人質」としていたからにほかならない。
勝手に生国(しょうごく)に帰られては、幕府としては困るわけである。
かような厳しい取り締まりの中でも、男は自由に出入りを許されていたらしい。
通行手形さえ持っていれば、関所を通り抜けられた。
伊勢神宮を参拝するためには女も行くことができたが、これには特別な手形が発行されている。
とはいえ女の一人旅はかなりハードルが高かったと思ってよい。

ゴーン氏も通行手形ならぬパスポートを、彼は自身の持つ国籍の数だけ所有しており、不思議なことにフランス政府の発行する正規のパスポートを二通持っていたと言う。
夫人がかかわっているとも言われ、この問題は国際問題に発展しそうだが、最初から舐められている日本にどうやら勝ち目はないようだ。

日本は甘い国なのだなぁ。