久しぶりにアクション映画をアマゾン・プライムビデオで観ました。
『ワイルド・スピード8』でシリーズものの8作目ということらしいです。
映画のチラシには雪原に数台の車がこちらにむかって爆走している写真が用いられ、バックには巨大な潜水艦らしき影が…
どうやらカーアクションらしい。

ところがのっけからキューバの常夏の世界が広がり、クラシックなアメ車が現役で走り回っている。
ファン垂涎の車種だろうと推測されます。
陽気なカリビアンたちが、不穏な雰囲気。
(しかし、チラシの極寒の風景はどうなっとんや?それはラストで)
主人公らしい、ブルース・ウィリス似の坊主のおっさんがポンコツ車を改造して、公道レースの挑発を受けてたつというツカミで始まります。
ニトロをかまして、爆発的な速度を出す…
このカーチェイスはのちのニューヨークでのカーチェイスの前座です。
そんでもすごい。
私は若いころ車が好きで、マニュアル車でブイブイ言わしてたんですけど、あのころを思い出します。
カウンター切って、お尻を振るなんての。

はっきり言ってB級作品です。
戦う必然性がまったくわかんないし、いったい何と闘ってんだ?
随所に出てくる「ファミリー」という関係も、普通一般の家族という意味よりも「義兄弟」みたいな他人との誓約らしいし、それに集って命を張るほどの絆とは?
映画のお約束ということで、細かいことは言いっこなし。B級アクションなんだから。
それでもシリーズですから前回、前々回などを観ていた方が理解が早いのかもしれません。

B・ウィリス似の主人公ドミニク(通称ドム:ヴィン・ディーゼル)はファミリーの一員レティ(ミシェル・オルティス)と結婚しキューバのハバナでハネムーンを過ごしていた。
ハバナにはラルドという高利貸しがいて、こいつは車好きでスピード自慢の男だった。この男がドミニクのいとこに金を貸していて、いとこが返済できずいとこの車を差し押さえた。
ドミニクは車を取り返してやろうと、ラルドにレースを挑む。
結局、破天荒の公道レースとなり、ニトロをつかったエンジンの限界を超えるドミニクの車が爆発寸前でレースを制し、車は爆発して海に落ち、ドミニクはその前に脱出して無事だった。
ドミニクの勝利をラルドは認め借金をチャラにしてくれた。
ドミニクはしかし、担保の車を返してもらわなくていいとラルドにキーを渡してしまう。
この友情がのちにドミニクを助けることになる。

バカンスを楽しんでいた、ドミニクにある女が近づく。
女はサイファー(シャーリーズ・セロン)といい、ある組織をたばねているらしい。
そして厄介な仕事をドミニクの腕を見込んで一方的に依頼する。
ドミニクは断るが、彼女からスマホの写真を見せられ表情が固まる。
そしてサイファーの仕事を受けるのだった。
その写真がなんであるかは、観客にはわからないが、おそらく大事な人を質にとられているのではなかろうかと予測させる。

ドミニクにはレティと付き合う前に、エレナという元警察官の女と同棲し子供をなしていたことは前作を知っているひとは承知のことだろう。

サイファー一味は、最先端の兵器や航空機を持ち、ベルリンから「電磁パルス砲」という訳の分からない秘密兵器を盗み出せとドミニクに命じる。
ドミニクは「ファミリー」を招集して、事に当たるが…
兵器を奪取した「ファミリー」をドミニクは裏切り、「電磁パルス砲」をサイファーに差し出す。
サイファーの基地は「ゴーストフライト」という大型ジェット機で、貨物室を持ち、尾部のハッチから車両などを搬入できる機能を持つ。
内部には全世界の位置情報、ネット環境からハッキングできる頭脳と機器が備わり、これらを用いて、東側の核を操作して世界を牛耳るのがサイファーの目的だった。
サイファーは冷血な女で、手段を選ばない。
そして「ゴーストフライト」でドミニクに見せられたものは、おそらくスマホの写真と同じであろう、虜になったエレナと乳飲み子の男の子だった。
彼が「ファミリー」を裏切ってでも遂行しなければならなかったのは、ひとえにエレナと彼の息子のためだった。

そしてニューヨーク。
サイファーは東側の要人を乗せたリムジンを襲い、核のボタンが入ったアタッシュケースを奪取するよう、ドミニクに命じる。
それを阻止しようと「ファミリー」たちがカーチェイスを繰り広げる。
よくこの撮影ができたものだと驚くほどの緊迫した追跡劇である。
一番の見どころと言っていいだろう。
「ファミリー」のメンバーは、レティと力自慢のルーク(ドウェイン・ジョンソン:プロレスラー)、同じく、ルークの喧嘩相手で力自慢のデッカード(ジェイソン・ステイサム)、ローマン(タイリースブソン)、デズ(クリス・ブリッジス)、ラムジー(ナタリー・エマニュエル)ら。
ラムジーは優秀なハッカーであり、サイファーのハッカーとやり合う。
ルークはアメリカ外交保安部(DSS)捜査官だが休職しており、娘のサッカーチームの監督を務めていたが、サイファーから「電磁パルス砲」を奪還する任務を命じられる。
ところがドミニクの裏切りで奪還は失敗に終わり、ルークはベルリンで逮捕され、アメリカに移送され収監される。
ミスター・ノーバディ(カート・ラッセル)というアメリカ秘密工作員の長がルークを交換条件付きで出してやろうと持ち掛けるが、ルークは応じず収監される。
そこで宿敵デッカードと相まみえ、罵詈雑言をぶつけあう。
ノーバディの差し向けで監獄の扉が解除され、囚人たちが表に出てしまい、獄卒と乱闘騒ぎになる。
この騒ぎに乗じて、ルークとデッカードは脱獄し、ノーバディの命令に従うことになるのだった。
この乱闘も見どころである。
とにかくルークとデッカードの腕っぷしの強いこと、強いこと。
デッカードは元イギリス軍特殊部隊であり、ルークとは前作では敵同士だった。
痛快無比である。

サイファー一味のハッキングで、位置情報から個人のスマホを悪用したり、自動運転装置が乗っ取られ、駐車中の車が動き出し、操られ、ニューヨークは大惨事になるなど、考えたらそんなこともあるかもと思わせる。

観る者を飽きさせない工夫は随所にあり、楽しめるが、いったいなんでこの人たちは戦っているのかわからなくなってくる。
『特攻野郎Aチーム』や『ミッションインポッシブル』でも、もうすこし政治的背景とか、まことしやかな伏線があるものだけれど、この作品はそういう約束事はほぼ無視している。
絶対悪としてのサイファーと人間愛の「ファミリー」の抜き差しならない関係ということか?
まあ、おもしろかったです。