ソフトポルノの邦画を二題、比較してみたので感想など。
まず城定秀夫監督作品の『僕だけの先生』です。
この監督作品は以前に『悲しき玩具 伸子先生の気まぐれ』を藤堂監督らと鑑賞してダメだしをしましたね。
もう、観る方が不完全燃焼で放っておかれるという、時間の無駄でした。
だからあまり期待せずに『僕だけの先生』を観たわけ。
たしかに『伸子先生~』よりはエロが前面に押し出されていました。
表題からも推測できるように、家庭教師ものです。アダルト作品にはよくあるネタです。
イタリアのヴェルトルッチ監督作品で『家庭教師』ってのがありました。
典型的な「ボーイミーツガール」作品で、家庭教師が生徒に性の手ほどきをするというものではありませんが、童貞の悲哀を描いたものです。
イタリアはこの手の作品が好きなのか最近、といっても2015年の作品ですが『青い経験 誘惑の家庭教師』というズバリのものが上演されていました。
私は観ておりませんのですが、「青い経験」シリーズものの最新作ということです。
どうやらドタバタ喜劇になっているようです。

さて『僕だけの先生』なんですが、三流(?)女子大生の美雪が家庭教師を始めるわけですが、最初の男子生徒は「やりたいだけ」の男の子で、勉強そっちのけで美雪の体を求めるんです。
それはこの物語の前菜でしかなく、大筋に何の関係もないが、美雪が清楚ではなく、わりとセックス好きなのだという前提を観る者に与えるだけのエピソードだと思います。
貧乳ですが、女子大生の色気というものを持ち合わせている美雪(湊莉久)は可愛い系です。
そして二番目の家庭教師を依頼してきた女が問題なんですよ。
その地味なメガネの女「間宮智子」は、弟「清彦」の家庭教師を探していたらしく、美雪に依頼が来る。
美雪はその家を訪ねます。
間宮家は古い家で、庭が広く、周りの環境とは隔絶されたような気味の悪い屋敷でした。
その家には姉と、根暗な浪人の弟だけが住んでいるという異様な設定です。
姉は弟を溺愛しており、一歩間違えば「近親相姦」か?と思わせるほどのべたべたな関係なんですが、一線を越えないように姉の智子が努めており、弟の性処理かつ家庭教師として美雪を呼んだらしい。
清彦は医大を目指しており、それは姉のためだった。
智子は、弟のために援助交際をするなどして金を稼いでいたのです。
実はこの家は智子と清彦の伯父の家だった。
おそらく智子たちの両親が死んだのか、この独り者の伯父に育ててもらっていたようです。
ところが智子が高校生になり、女らしくなると伯父は智子の体を求めるようになり、智子に毎晩性処理をさせるようになる。
それを盗み見た清彦は、伯父を撲殺しようとしたが未遂に終わった。
智子は弟が犯罪者になることを恐れ、伯父にとどめを食らわし、殺害するのです。
そして二人で伯父の遺体を埋めたのでした。
それからです、姉弟の二人暮らしが始まったのは。
彼らには夢があった。
弟が医者になり、この家を壊して病院を建てようという夢です。
だから必死になって弟のために姉は体を売り、いい家庭教師を探すのでした。
清彦も勉強ばかりで、男の子の部分は正常に発達しているわけですから、姉以外の女子大生が彼の側で勉強を教えてくれるというシチュエーションに勉強も手に付かない。
あげくに医者志望だから睡眠剤を自分で調合することなどもお茶の子で、ついに美雪を薬で眠らせ全裸にして、欲望を果たそうとするんです。
姉にその場を見つけられ、美雪も目を覚まし悲鳴を上げます。
このまま、美雪を逃がしては、智子たちは破滅です。
智子はひそかに美雪を屋敷の中の物置きに監禁します。
素っ裸で縛り上げ、逃げられないようにして辱めるのです。
智子はサディストの性質も持っていた。

智子を演じているのは和田みさという女優さんで、あまり美人とは言えないが、どこにでもいるお姉さんという感じで、体もいい。
JK(女子高生)と偽って、出会い系で男を漁るけれど、客にバレるわけ。
やっぱりトウが立っているからね。制服姿がイタいわけ。
でも体当たりの演技はなかなかのものだったと思いますよ。
べつにAV女優さんじゃないですからね、和田さんは。
湊莉久ちゃんは、どうなんだろ?この子は最終的には、弟の清彦の童貞をもらってあげるんだけどね。
セックスの演技はAV並みに上手だと思います。

いちおう、この作品はそういうことで置いときます。

次に観たのは越川道夫監督作品の『二十六夜待ち』です。
これは井浦新主演の真面目な物語ですが、ヒロインの黒川芽以との濡れ場は、ちゃんと腰を動かす本格的なものです。
東日本大震災で両親を失った由美(黒川芽以)が叔母夫婦の工務店で家事手伝いをしながら暮らしています。
叔母がほぼ工務店を切り盛りしており、ご飯の用意などができないので由美が買って出て、叔母に感謝されている。
そんな由美が街に出て、店員募集の貼り紙を見つけるんです。
「このままおばさんに世話になるばかりじゃ、今後の生活も成り立たないから、仕事しよう」そう思ったんでしょうね。
「杉谷」という屋号の小料理屋で、カウンター席と数個のテーブル席しかない狭い店で、店主、杉谷(井浦新)と、夜のパートさんの二人だけで店をやりくりしていた。
昼は、近所の労働者たちが定食を食べに来るので、とても忙しく、昼の手がほしかった杉谷でした。
そこに由美が来たので、明日からでもすぐに来てほしいということになる。
由美は、もともと台所仕事が得意だったので、すぐに杉谷の補佐として十二分に能力を発揮するんです。
そして夜のパートの女性が辞めたいということになり、由美に「夜もお願いしたい」と頼む杉谷だった。

杉谷は本名ではなく、かれは記憶を失っており、家族があったのか、自分がどういう人間で、名前が何なのかさえ思い出せないという苦悩があった。
おそらく震災が関係しているのだろう。
行き倒れになっていた彼が、市役所の福祉の課長の好意もあって、彼が気を失って目が覚めた時に目に入った景色が杉林の谷間だったことから「杉谷」の苗字を役所に届けて、板前の腕を見込まれてこの店を持たせてもらった経緯があったのです。
記憶を失っていても、魚をさばく技術や料理の手際は体が覚えているのか、まったく問題なくできるのです。
まさに芸が身を助けた事例でしょう。
福祉課長はなにくれとなく、この店を贔屓にし、杉谷の様子をながめていました。
そこに由美という年頃の女性が入り込むことも、今後の杉谷のことを考えれば良いことだと思っていました。
由美は両親を亡くしており、杉谷も家族がいたのかどうか不明です。
この二人が近づき、傷を舐め合うように惹かれるのは当然だったのだと思います。
そしてだんだんに深い仲になっていく。
セックスも大胆になり、フェラチオや騎乗位、対面座位で激しい接吻など、AVではもっとも好まれる体位を、井浦君と黒川さんが惜しげもなく披露するんです。
男性なら「立つ」と思います。あたし「濡れ」ました。

井浦君の魚のさばき方、最後のほうで活け河豚(ふぐ)をさばくシーンなどすべて彼がやっています。
ここも見どころです。
私は、井浦新をNHKの『日曜美術館』で知りました。
今の小野正嗣さんの前のMCを彼が務めていた時からのファンです。
彼は、なにごとにも真っ向から立ち向かう人なんですね。
カメラが趣味で、芸術性もあり、絵画にも詳しい。だから『日曜美術館』に抜擢されたんだと思います。
そんな井浦君の濃厚ラブシーンに私は、やられましたね。
腰の動かし方なんか「入ってんじゃない?」と思わせます。
ボカシが入っている場面もあったので、現場ではぶらぶらさせていたんだと思います。
黒川芽以ちゃんもすごいよね。

この二作品、軍配を上げるなら、当然『二十六夜待ち』でしょう。
やっぱり『僕だけの先生』は城定監督の「自慰的作品」に陥っている。
城定監督作品を観る者は、不完全燃焼で置いていかれてしまうのです。
「もう、二度と観るか」となりかねませんね。
『僕だけの先生』は藤堂なら、もっとすっきりとした近親相姦ものに仕上げるでしょう。
あの和田みさという子は、そういう暗いセックスこそ似合うと思うのよ。

ではまた。