高畑勲さんが五日に亡くなった。
宮崎駿監督と二人三脚(二馬力)で日本のアニメ界をしょって立った巨星だった。

もっともスタジオジブリの「二馬力」の名称は『カリオストロの城』でクラリスが運転していたシトロエン2CV(ドゥーシヴォ)のエンジンが二馬力だったことに由来するらしい。

私が勝手に宮崎氏の個人事務所である「二馬力」とは宮崎氏と高畑氏のことだと解釈しているに過ぎない。

高畑さんと言えば、皆さん『火垂るの墓』を想起すると思うのですが、私もそうです。
岡山で空襲に遭われた戦中派の高畑さんならではのリアルな描写でした。
それでも「まだ戦争を描き切っていない」と自評しておられた。
高畑さんも、宮崎さんも東映時代に組合活動で知り合って、左翼思想に傾斜していきます。
高畑さんは最期まで日本共産党に賛同してきたことになります。

ところで、大阪の人間としては『じゃりン子チエ』アニメ版も彼の脚本によるものだということを声を大にして言いたい。
はるき悦巳の原作も独特の雰囲気ですが、三重県出身の高畑さんには合っていたのかもしれない。
コテコテの大阪感を出すために、声優にネイティブスピーカーの関西人、つまり吉本新喜劇の人材を使うことに固執したのは高畑さん本人でした。
だからよかった。

まだ十歳ぐらいのころ、映画館で観た『パンダコパンダ雨ふりサーカスの巻』も、私には思い出深い作品です。
アニメで泣いたのはこの作品が初めてでした。
ハッピーなお話なのに、なぜか泣けてくる。
悲しい涙じゃないのです。
幸せをかみしめる涙なのです。
これが高畑さんの監督作品であったことを知るのはずっと後の大人になってからでした。

私は宮崎さんのドンパチアニメも好きですが、ハートウォーミングな作品に高畑さんの良さが表れていると思うのです。

いやぁ、惜しい。
もうひと頑張りしていただきたかった。