ペンネーム「愛人28号」さんからです。
「28号って、えらいランクが後ろの方やねぇ」
「28号さんでっか?本人も忘れてまうわい。あたし何号やったっけ?」
「ほんでも27号さんの後ろで、29号がいてはるかどうか知らんけど、その人の前なわけや」
はははは…
「やっぱり、この人「掛け持ち」やろね」「愛人の?」「ほうよ」
「こないだ「別人28号」っていう人のメール来てたやん」「そら別人やろ」「言う思た」

菊置換先生とラジオのパーソナリティをやっている。
「せんせのお名前もペンネームでしょ?」
「当たり前やがな。どこに菊置換なんてけったいな名前があるかい」
「やっぱり、菊池寛にあやかってはるんですか」「まぁな」
ガラになく先生は赤くなった。
「しっかし、せんせのペンネームは、菊で切るんでっか、菊置で切るんでっか?」
「どこでもええわい。わしのことより、愛人28号の質問を早よ、言うたらんかい」
「そうでした。28号さんは、ショタコンだそうで、その由来が正太郎君だというのですが、鉄人28号の操縦士正太郎少年には萌えません。昔の人は正太郎君で萌えたのでしょうか?というご質問です」
「だいたい、なんやねショタコンて。シャブコンやったら知ってるけど」
「ショタコンちゅうのはね、この人も書いてはるように、鉄人28号っていう漫画にでてきた主人公の正太郎少年に恋する年上の女性の複雑な恋情を言うようです。転じて少年を愛する女性とでもいいましょうかね。けどシャブコンって何ですねん?」
「きしょくわるい女やな。まあええわい。シャブコンはやな、コンクリのシャブいやつや」
「シャブいやつ?麻薬かなんか入ってまんのんか?」
「あほぬかせ。しゃぶしゃぶの水の多い、固まらんコンクリのことを言うんじゃ」
「お肉みたいでんな」「なんでや」「しゃぶしゃぶって」「お前は食うことばっかしやな」
菊置換は、苦笑いで度のきつい眼鏡ごしの目で私を見る。
「ショタコンは、あたしもあんまり知らんのですけど、オタクな女性に多いらしいです」
「オタク?秋葉やら大阪の日本橋あたりにおるアレか」
「まあそうです」
「なおぼん、お前、エロ書いてんねんやったら、そんなもんも守備範囲やろ。おせたれ(教えたれ)」
私は菊置換先生の弟子として、小説を書いている。
それもエロ専門で。
先生は「掬痴漢」という名義でエロを書いておられる。
「痴漢を掬(すく)う」とは、妙なペンネームである。
「掬う」という漢字の音が「キク」だそうだ。

「愛人28号さん、あなたの言うように鉄人28号の主人公正太郎がショタコンの語源であるようです。しかしながら、あなたがたショタコンの嗜好は、正太郎でなんかでは決してない、もっと中性的なやわらかい髪の持ち主で、たぶん変声期前の男の子でしょう?でも精通はあるという成長過程のアンバランスに性的魅力を感じ、そしてその子を自分がリードする様子を妄想するんですね」
「うまいこと言うな」
「まだ陰毛も生えそろわない幼いペニスが、あなたの手の中で健気に硬くなって、打ち震え、香しい雄の精を噴き上げる瞬間、あなたは恍惚となる」
「おまえ、自分の世界に入っとるな」
「ああ、「キミは怯えなくていいのよ」これは誰にも起こること。大人になった証(あかし)」
私は、悦に入って続けた。
「わかっていただけたでしょうか?愛人28号さん」
「わかるかい!お前が勝手に逝っとるだけやないか」
「えへへ」

青い性を貪る年増女…
MILFものは欧米でも人気だ。
だいたいハイソな女性のオカズになるらしい。
教師とか、弁護士とか、医者とか。
いや、観る者は女だけでなく、少年好きな男性もいる。
むしろそちらの方が多いのではなかろうか?
少年に性的暴行をおこない警察に捕まる男性の多いこと。
これは洋の東西を問わないらしい。
男色とは、少年とおっさんという取り合わせが普通だ。
武家社会や僧侶の世界でもあった。
このあたりについては菊置換先生が詳しい。
菊置換の『蘭丸』は菊池寛賞候補だった。

私はいったい何を書いているのだろう?