も~もたろさん、ももたろさん
お腰につけた きりたんぽ(?)
ひとつわたしにくださいな…

「きびだんごとちゃうか?きりたんぽやったら、県をまたいで、ちがう話になるやないか」
と、わたしは幼女の歌にツッコミを入れていた。
きりたんぽを「二本差し」にしている桃太郎を想像して私は噴きだした。

「まあ、語呂がいいし、どっちも食べ物やし、かまへんか…きりたんぽやったら、鬼は、さしずめナマハゲやな」

ところで「茂吉の猫」というお話をご存知だろうか?
松谷みよ子さんの絵本などで、子供たちにはおなじみのお話なんだけどね。
和多田塾頭に訊けば、落語のネタでもあるらしい。

鉄砲撃ちの猟師で、大酒のみの茂吉という男の話。
茂吉は猫の子を飼っていた。

毎月の晦日(末日)に猟を終えて鉄砲を担いだまま、茂吉は酒代のツケを支払いに行く。
すると、えらい高い請求を受けるわけ。
「おかしいやんけ、そんなに俺、飲んどらんど」
「いや、いつもね、茂吉はんのツケにしといてゆうて小僧さんが酒を買うていくんや。あんたも知ってるこっちゃと思うてたんやけど」
「どこのどいつじゃ、そんなん言うやつは」
と、えらい剣幕でぷりぷり怒る茂吉だった。
するとそこに、件(くだん)の小僧が酒を買いに店に入ってきたから、茂吉は「おまえか」と言ってとっつかまえようとする。
小僧は、驚いて店を飛び出したのを、茂吉が追いかける。
小僧の足の速いのなんのって…茂吉はとうとう鉄砲を構えて狙いをつけ、ぶっぱなした。
腕のいい猟師の茂吉の銃弾は、小僧の下げているとっくりに命中したが逃げられた。
「くそ、ここはしかし、どこや?気味の悪いとこやな」
茂吉は、小僧を追って村はずれの「化け物尽くしの原」と恐れられている場所に来てしまっていた。
ふと、茂吉の目の前にヒトダマが現れては消えた。
「あわわ…」
さしもの豪傑茂吉も足がすくむ。
目が慣れてきたのか、遠くに唐傘や蓑(みの)、つづらなどの化け物が集まって、小僧を取り囲んでいるのが見えた。
「お、お…」
茂吉の口からは、言葉にならない言葉が漏れた。
すると、妙な気味の悪い歌まで聞こえてくる。

なんちのりぎょに けいとくじ
さいちくりんの いちがんけい
とうやのばずに ていていこぼし
ふるみの ふるがさ ふるつづら
あっちゃぶんぐら こっちゃぶんぐら
どんどんどん

そして小僧は、化け物たちから責められているのだ。
「どうして、酒を持ってこなんだ?」
「て、鉄砲で茂吉さんに撃たれた…」
「茂吉に?あの鉄砲撃ちの茂吉にか」
「で、酒のとっくりが割れて、怪我した」
「ほなら、おまえ、もどって明日の朝、茂吉の飯の上を飛べ、そしたら茂吉は死による」
化け物の入道が言う。
「いやや」と小僧は子猫の姿に戻って拒否した。
「なんでや?」
入道は、怖い声で子猫に詰めよった。
「なんでって、おいら、茂吉が好きだも」
「いやや言うんやったら、こうしたる」
と、化け物の親分である入道が子猫をつかみ殺そうと手を伸ばした。その時、茂吉の銃口が火を噴いた。
化け物たちは驚いて消え去り、子猫だけがそこに残っていた。
「あほやな、お前は」
そう言って、子猫を抱きかかえ、茂吉は家路についた。

あくる朝、茂吉はふたたび「化け物尽くしの原」に行ってみると、破れた傘やつづら、蓑、壊れた提灯などの古道具が打ち捨てられているのを見つけ、付喪神(つくもがみ、化けあがり)だったのだと気づくのである。

こういう話を子供らの前で私は読み聞かせると、「化け物の歌」のところで、とてもウケるのだった。
何度も「歌って」とせがまれる。
意味は不明だが、調べると、

なんちのりぎょに けいとくじ(南池の鯉魚に 景徳寺)
さいちくりんの いちがんけい(西竹林の一眼鶏)
とうやのばずに ていていこぼし(東屋の馬頭に ていてい小法師)
ふるみの ふるがさ ふるつづら (古蓑 古傘 古つづら)
あっちゃぶんぐら こっちゃぶんぐら どんどんどん (意味不明、オノマトペだろう)

という説があることはある。
お化けの名前なのだろうか?