森永製菓の「ピノ(pino)」を私はよく食べる。

ピノ
これを食べていると、ふと疑問が湧いてくる。
「どうやって作っているんや?」
確かに、外箱の右肩にチョコレートをコーティングしている絵(写真?)がある。
普段は、そうやって作っているんだろうと疑っていなかった。
私も忙しいのでね。
ところが、「やっぱり、変やで、この写真」と、思うようになったのだ。

チョコレートを流動化させるには、温めないとできないことは小学生でも知っている事実だ。
そしてピノのチョコの中はアイスクリームである。
冷たいアイス(当たり前か)に温かい(むしろ熱い)融解したチョコレートを掛けたらどうなります?

私は、考えた。
ピノの形がヒントになった。
あの「バケツ型」は、いわゆる「抜き勾配」というものではないか?
プラバケツが「円錐台」をひっくり返した形になっているのは、もちろん先代の「木桶」がそう言う形をしていて、重ねやすいという利点からそうなっていたのだが、プラスチックにする場合、金型に熱融解させたプラスチック原料を流し込んで、冷やして型から抜く際に、円錐台型にしておくとオス型からメス型を抜きやすいのである。
ということは、チョコレートも然りで、おそらく円錐台を逆さにした、カップ型にチョコレートの融解した液を流し込み、型の外には冷却水が通っていてすぐにチョコが固まっていくが、そのままだと、溜まったチョコがみな固まって、円錐台型のチョコになってしまう。
そうならないためにも、内側がまだ固まらないうちに型をひっくり返して余分を流し出すか、ひっくり返さずに、液状チョコだけをノズルで吸い取るかして、型の内面に薄いチョコ被膜をつくるのではなかろうか?
そして、型の内面に貼りついたチョコカップにアイスクリーム原液を流し込み、このまま氷点下まで冷やす。
途中でいったん出して、再び、融解チョコを掛けて蓋をし、また冷凍すれば、そのくらいならアイスも耐えるのではないだろうか?

ネットで調べても、このピノの製法は「企業秘密」らしく公開されていなかった。

ところが、私は見つけましたよ。森永製菓の特許を。
J-PlatPatで検索しました。
特許5898450で森永製菓が特許を取得しています。(公開番号特開2013-81408)

ピノ特許図面
この図面でもうおわかりですね。私が予想した通りでした。
この出願は、いちど拒絶査定され不服を申したてて、拒絶理由を解消させて特許になったようです。
それほど森永製菓はこの「冷菓製造技術」に本気度を示していたことがうかがえます。
かくして「ピノ」は売れに売れて、様々な味のバラエティーが販売されるに至りました。

特許の図面ではチョコカップに層が厚いですね、これを解消するには先行技術があるらしい。
私が推論した、まだ固化していないチョコを吸い取るなりするんだそうです。
森永製菓は「背景技術」を詳しく述べていますので、この冷菓の製法の歴史をうかがい知ることができます。

私も特許をいくつか取得していますが、食べられるほど儲からないですね。
もっと考え抜いた発明がないとだめです。
高分子化学と繊維、化粧品の特許がありますけど、ここんとこその方面の収入はゼロです。
出願する予定の発明が二つほどありますがね。
論文や特許明細書のような硬い文章ばっかり書いてますから、小説家には到底なれませんし、ポルノ作家に憧れますけれど、まあ無理でしょうねぇ。もっと、男の方に教えていただかないと…
当分、住民税非課税世帯として御厄介になることになりそうです。
貧乏暮らしもいいもんですよ。夫の障害年金とあたしの家内工業の収入でね。

仕事机
私の仕事場です。会社からそうしてくれって頼まれたんで、材料をもらう日と納品の日以外は出勤しません。
ほんと「細々」と糊口をしのいでいます。
「落ちこぼれさん塾」の手伝いでは、お金はいただいていません。
私は、基本的に、人に教えることで収入を得るのは「専業」でもないのにすることではないと思っています。
学校の先生や、塾講師は専業ですから、それはお金を得ないとやっていけないでしょう。
私は違います。
子供たちに、私がしてきたことを教えるのにお金を取れないですよ。
その知識は私の「オリジナル」でもないし、受け売りで、教科書に載っているような内容ですから。
もし私が発明した知識なり、知見なら、お金を戴くかもしれませんが、そんなものはないです。
すべて「本に書いてある」はずのことです。

ピノから話がそれましたね。
とにかく、発明は楽しいし、人の発明は鑑賞に値するものです。
J-PlatPatは、いろんな知識の宝庫です。
よかったら、「あれって、どうやって作ってんだろ?」と思ったときにご利用ください。
そして、あなたも特許を書いてみたらいいと思います。
審査請求して、拒絶理由を食らって、なんとか審査官におもねって文章を改め、特許査定をもらってみると、うれしいものです。
審査官と喧嘩してはいけません。心証を害さないように、慇懃に、社会人らしく審査官を立てて、かつ、自分の主張を通すのです。特許庁を直接訪ねることも、心証を良くします。アポを取って、会いに行けば、発明に対する本気度が向こうにも伝わりますから。
弁理士に頼むのもいいですが、なかなかお金がかかりますのでね、自分で出願すると印紙代しかかかりませんからね。職業発明なら会社に出してもらえばいいです。
私は自分で書きますね。もう研究職を十年以上やってましたから。
今もパートで会社の知財部を受け持ってます(人員が私しかいない)。
京都発明協会で無料で相談は受けてもらえますから、そういうのも利用するといいでしょう。
各地に発明協会の支所があるはずです。