男の子は思春期に「変声期」つまり「声変わり」を経験すると思う。
男性ホルモンの影響で、のどの声帯周りの筋肉群が成長していくが声帯が追従しないので声が太くなり、出にくくなったりするのが「変声期」であり、男性はそのまま太い声になってしまう。
この現象は進化の過程で獲得したものと仮定すればどうだろうか?
少し思考実験をしてみよう。

大人になるということは生殖能力を獲得するということだ。
男は女を選ぶ、または選ばれなければ子孫を残せない。
それは女に立場を変えても同様であるはずだ。
人間は、社会性動物であるから配偶者を選ぶときには、外観だけでなく経済力や、相手の家柄だとか、性格的な部分を重要視したり、趣味が合うなどの文化的要素も選択の基準になる。
ところがそういう選択の条件よりも根源的な、外観、声、体臭という動物的な好みや嫌悪もやはり重要な配偶選択の要件であろうことは経験することである。

なかでも声は魅力の代表であり、セックスアピールの上位を占める。
とすれば、声変わりは対男性ではなく対女性に向かう体の変化であり、この声で女を釘づけにするという現象ではなかろうか?
もし男性だけの社会で、言葉持たない人間社会を推定すれば、声変わりの必要性を感じない。
言葉を用いて愛を語らう人間だからこそ、声で女性を惹きつけるという機能が「変声期」なのではないかと思う。
また声変わりしていない未熟な幼少期の声は、母親にとって心地よい、高いかわいらしい声によって母の愛を一身に受ける必要が子供にはあるということであろうか?
いずれにせよ、男性が年頃になるとき、変声期を迎えるのは女性を惹きつけて、結婚相手にして子供を残さねばならないという要請から起こるものだと考えられる。
第二次性徴のすべてが配偶者獲得のために起こるものだからだ。

進化に無駄はないと言われる。
進化して行き詰まれば、その個体は滅ぶだけなのだ。
時々の最良の進化を経て、今に至って個体は栄える。
あのミツユビナマケモノだって、彼らの祖先からしたら一番、進化した状態にあるはずだ。
けっして「残念な」動物ではなく、進化の勝者だと言っていい。
そうでなければとうに滅びている。

ヒトのメスの乳房が常時、膨らんでいる(貧乳さんは置いといて)のは、第二次性徴の産物だが、子に乳を与えるだけなら授乳期だけ膨らんでいればよいのに、いったいどうしたことか?
ネコやイヌならまさに授乳期のみ膨らんでいる。
これはニホンザルのオスの臀部が赤くなる「婚姻色」と同様の効果があると学者などは見ている。
つまり、ヒトのオスに選ばれるために大きく膨らんでいるのだと。
「ボインはお父ちゃんのためにあるんやないでぇ」と月亭可朝師匠が漫談で歌っていたのは実は「お父ちゃんのため」というか「世の男性のため」にもあるという反語だった。

バストをことさら見せるグラビアモデルが男性にもてはやされるのも、男性ならお分かりだろう。
おっぱいに性的魅力を感じない男性がいるのか?
老いも若きも「おっぱい好き」だ。
おっぱいを見ただけで、おちんちんが硬くなるという男性もいるだろうし。
これも進化論から言えば、女性が男性に選んでもらう性徴の一つと考えていい。
クジャクの羽根(彼らはオスだが)のようなセックスアピールだ。
じゃあなぜバストなのか?
哺乳類は乳房から乳汁を分泌して子供を育てる。
バストの発達は繁殖力の象徴だと見て取れる。
豊かなバストを持つ女性は沢山子供を産み育てる能力に長けているんじゃないかと、男は思うわけだ。
ゆえに年頃の女は、ことさらバストを魅力的に見せるのだろう。
女の婚姻色が豊かなバストなのだ。

こんなことを書くと、大きなバストに悩む女性もいるし、貧乳に悩む女性もいることに配慮が欠けると言われるかもしれない。
私は今、進化論として一般的な推論をしているに過ぎない。
バストの大小が取り沙汰されるのは「文化論」だ。
西洋の絵画などでは女性のバストは小ぶりに描かれる。
大きなホルスタインのようなバストは醜いとされていたのだ。
一方、ポリネシアなどでは、ことさら太った、バストも豊かな女性が多産・豊穣の象徴とされ好まれる。
こういう好き嫌いは文化であり、進化論で論じるものではない。

進化には選択という力が働く。
多く選択されたものが勝ち残るという風に。
男性の声変わりも、女性のバストの膨らみもそういうものが選択されていったからだと推論できる。
その選択に人間ならば文化的要素が介入する可能性は否定できない。
その効果が表れるには人類史はまだまだ時間が足りていないと思う。
バストやペニスは今後、文化的な要素が加わって「より大きなものがよい」と選択が働けば、そういった個体が残るだろう。
日本人男性の多くが包茎であるというのも、露茎にこだわらなかった人種だったからだろうし、弱い亀頭を保護するという生物学的な要請を、文化が否定した「割礼」が日本にはなかったことが影響していると考える。
割礼などしなくとも、「子供時から包皮を剥く」訓練をして、何代か経れば、日本人も大半が「ムケチン」になるだろう。
ペニスはもっと進化するかもしれない。
なにしろ霊長類の中で最大の大きさを誇る人類のチンポだから。
なにゆえそこまで大きい必要があるのか、私にはわからない。
膣に入りきらないほどの「業物(わざもの)」を欲しがる男性は、チンポを日本刀か銃器の類、または玩具だと思っているではなかろうか?

それにしてもダーウィンの進化論とは、おもしろい考え方だ。
進化論でいろいろ考えていると時間を忘れる。