テストステロン(男性ホルモン)の分泌は思春期から増加し、二十歳くらいでピークを迎え、あとは緩やかに低下するといわれています。
この分泌が40代後半から急激に落ちる男性がいます。
すると体調不良、うつ、勃起不全、性欲減退が顕著になり、悲観的になったり、自信喪失したり、男性にとってかなりのダメージとなります。
加えて、社会的な認知度が低いために、病気とは本人も含めて捉えずに、患者は人知れず苦しむことになります。

テストステロンの急激な分泌低下は加齢によるものと言われていますが、極度のストレスにさらされることで、加速するともいわれ、おそらく、高ストレス状態では、睡眠不足を惹き起こし、夜間のテストステロン分泌が抑制されることと関係しているものと推測されます。
ヒトは夜間に体を休め、成長させたり、損傷を治癒させたりしますので、成長ホルモンやテストステロンの分泌が夜間に増えることが確認されています。
よく「寝る子は育つ」といわれるのも一理あるのです。
思春期の成長著しい時期に、適度な運動をしなかったり、夜更かしばかりしていた男の子の体が貧弱で、性器も矮小なことが多いと指摘されるのもテストステロンの分泌不良が原因であると考える研究者もいます。

さて、男性更年期障害ですが、加齢とストレスにともなう生活習慣病誘発や活動の低下だとして、体の中では何が起こっているのでしょうか?
性ホルモンの分泌指令は視床下部と脳下垂体で発せられます。
視床下部から性腺刺激ホルモンを放出させるためのホルモンがまず分泌されますが、これが加齢によって低下するようです。
性腺刺激ホルモンを放出させるためのホルモンは脳下垂体前葉に働くとされます。そうして脳下垂体前葉から初めて性腺刺激ホルモンが分泌されるという二段階のメカニズムになっています。
性腺刺激ホルモンは黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの二種類があります。
不思議でしょう?
私は男性更年期障害の話をしていましたね。
なのに、黄体形成とか卵胞刺激って女性のためのホルモンではないですか。
ここにも女性から男性が作られたという進化の過程が読み取れます。
性という繁殖のための装置は女性主体で、つまり産む側の都合で男性を作り出したと考えられます。
黄体形成ホルモンは、女性器の場合、卵巣に働いてエストロゲンやプロゲステロンという女性ホルモンの分泌を促します。
男性の場合、黄体形成ホルモンは精巣のライディッヒ細胞に働いてテストステロンを分泌させます。
このことで体の男性化が促進されるというわけです。
一方で、卵胞刺激ホルモンは精巣のセルトリ細胞に働いて、精子を作らせます。
ライディッヒ細胞から生成されたテストステロンがセルトリ細胞に造精を働きかけるルートもあります。
これらの男性化活性化のルートだけでは野放図になってしまうので、ヒトの体には抑制回路も設けてあります。
アクセルにはブレーキが伴っていなければなりません。
それが女性ホルモンの一種エストラジオールです。
エストラジオールが脳下垂体前葉に働いて、テストステロンの働きを抑制します。
また精巣のセルトリ細胞からインヒビンBが分泌され視床下部に働きかけてテストステロンの抑制するルートも有しています。
男性ホルモンのテストステロンはコレステロール骨格を有していて、つまり、コレステロールから生合成されるのです。
コレステロール→プロゲステロン→テストステロン→エストラジオール
という具合に。
コレステロールはホルモン骨格なので、ある程度は生きていくうえで必要なものなのです。

男性更年期障害の疑いの目安として「朝立ち」が起こりにくいというのがあります。
またアダルトビデオの過激なシーンでも立たないとか、中折れするとか、オナニーや性行為での不調が目立ってきます。
そうすると心理的にも男性は追い詰められて悪循環に陥ります。
奥さんに性欲がわかないのを「マンネリ化」だと片付けていると大変なことになりますよ。
※「風俗では立つんだけど」という御仁は大丈夫ですが、夫婦関係は最悪になりますね。

直すには専門のクリニックに行った方がいいですよ。ホルモン治療もしてくれるでしょうから。
漢方の「補中益気湯」なんかを処方されるかもしれません。
バイアグラ飲んでも「立ちが悪いな」と思うようになったら、糖尿か男性更年期障害を疑いましょう。
奥様の更年期をバカにしている旦那さん、あんたも更年期に気をつけなさいよ。