ストームグラスを今年の6月ごろに作ったわけですが、真夏になるとほとんど結晶は見えなくなって、沈殿の砂のような固体だけになりました。
ところが、ここ数日で、結晶が著しく成長したのです。

2021.9.13のストームグラス
まずこれが9月13日の様子です。この日はまだ結晶が成長していません。
その翌日14日の朝には、

2021.9.14のストームグラス
葉脈のような樹状結晶が成長してきました。
気象予報では、東シナ海の揚子江河口沖に台風14号が停滞していました。
この台風はもうすぐ、東に進路を変え、日本列島に接近する模様です。
その日の夜はこんな具合でした。

2021.9.14bストームグラス
どうです?
かなり結晶が、かさ高く積もってきましたでしょう。
この結晶は樟脳(カンファー)のものだと思われます。
この「ストームグラス」は帆船時代に、船乗りが嵐の接近を予想するのに使ったと伝えられるものです。
そうすると、このような結晶の急成長は嵐の接近を知らせてくれているのでしょうか?

化学の世界では、結晶というものは、温度因子が大きく作用することを教えています。
ここ数日の宇治市の気温は、真夏の頃から急変して雨模様で25℃を下回って、24℃付近をうろうろしております。夜にはもう少し下がっていたかもしれません。
いっぽうで、嵐(ここでは台風などの低気圧)が近づくと、気温の変化もさることながら、気圧が低い方に傾斜するものです。
ところが、ストームグラスは丈夫な密閉容器の中で保存されるものですので外気の気圧とは連絡しておりません。
すると、外気温にのみストームグラスは影響を受けるのではないかという推測が成り立ちます。

つまり、私の自作したスームグラスは気圧の変化よりも気温の変化を主に受けていると推測できます。
この数日の宇治市の気圧はアネロイド気圧計によれば1014hPaで一定でした。
※宇治市の私の自宅の海抜は国土地理院のWeb版地形図により13mになっていますので、高度補正をしていません。

昔の船乗りたちの経験則も否定せずに、ストームグラスの現象を私なりに推論してみましょう。

台風14号が本州の近畿圏に接近するのは、気象予報によれば今週末だと言います。
台風14号はこの時間で進路をやっと東に転じたところで、まだ東シナ海にあります。
低気圧の影響はまだ近畿にはあまり及んでいませんが、この時期特有の秋雨前線が本州に沿って伸びていますので、ここ宇治市も今日は晴れ間がありましたが、昨日はかなり強い雨に見舞われました。
ゆえに、13日夜半から14日(昨日)にかけて気温は25℃を下回っていたようです。

帆船時代の航海において、船乗りには、嵐には冬の嵐(高緯度の嵐)と夏の嵐(低緯度の嵐)に分かれて理解されていたと思います。
高緯度の嵐の場合、気温の低い環境にストームグラスが置かれるので、絶えず結晶が生じた状態を観察することになり、容器の中の変化が日々刻々と異なったのではないでしょうか?
反対に、低緯度の嵐では、赤道付近に近づくと結晶はほぼなくなってしまい、まったく変化がない状態が続きます。
ところが一旦、嵐が近くなって、雲行きも怪しくなり、日照が無くなると、急に温度が下がります。
高緯度の場合と見た目が異なり、無から有が生じたような突然の結晶の発生は、上に示したようにとても印象深いものですので、当時の船乗りも「これは!」と思ったことでしょう。
実は、気圧の変化でストームグラスが反応していたのではなく、ただ環境の温度の急変に反応していたに過ぎず、結晶がダイナミックに発生することから「嵐の接近」を予感させるのではないでしょうか?

このストームグラスは、少し手間がかかりますが、お子様でも親御さんと一緒なら簡単に作ることができます。
市販品は、結構、値が張りますので、私のブログの記事を載せておきますので参考にしてください。

http://vcrmnfeconi-wawabubu.blog.jp/archives/1078625739.html

http://vcrmnfeconi-wawabubu.blog.jp/archives/1078667100.html