風呂に湯が溜まるあいだ、ソファで口を吸い合った。
間近で見ると真由美も五十を超え、目じりに小じわができていた。
おれに会うために薄く慣れない化粧をしている。
自分も髪が薄くなりかけ、気になりだしていたから、お互い様だ。
それでも真由美は結婚していない分、歳より若く見えた。
全体に地味なのはあの頃と変わらない。
男物のようなワークシャツの裾を出したまま、ひざ下までのデニムのスカート…こういう恰好が昔と変わらない。
なにより、真由美を特徴づけている豊かなバストだ。
おれは遠慮なく手を伸ばし、そのたっぷりとした肉の半球をシャツの上から揉みしだいた。
「あ…」
小さく真由美がうめき、眉間にしわを刻む。
レンズ越しの二重瞼が閉じられて、瞑想しているように見える。
真由美の唇はぷっくりと膨らんで、性的な魅力を醸していた。
コーラルピンクのリップを引いている。
おれは再び、その唇を舐める。
ちゅっ…
妻の須磨子の唇にも触れなくなって十年近くなるのだ、おれは長い禁欲が続いていたことに今さらながら気づいた。
「よく、我慢したな…」
そう、思った。
「今日は、存分に真由美を抱こう」

ワークシャツのボタンを上から外していき、目当ての巨乳の谷間に顔を近づける。
あの、独特の真由美の体臭があった。
出会った頃、真由美はその匂いを気にしていたが、おれはまったく構わなかった。
むしろ、欲情をかきたてられたものだった。
真由美は腋臭症ではない、そんな匂いではなく、バターのような、へそのごまのような匂いだ。
彼女の説では、
「あたし、お乳が大きいから、こういう谷間とか裏側の皮膚が密着して汚れが溜まりやすいのよ。だから匂うんだと思う」といことらしい。

鼻を擦り付けて嗅いでいると、真由美は「やめて、臭いんでしょ」と、恥ずかしそうに言うのだった。
「いいや、好きだ。この匂い」
「変態なの?」
「そうかもしれない」
そんなやり取りがあったことを思い出しながら、なつかしくおれは嗅いでいた。
「ああ…」
「匂う?」
「少しね」
「お風呂、できたかな?入ろうよ」
「わかった」
おれは真由美から離れた。

おれたちは、裸になって、向かい合った。
期待のために隆々と立ち上がったペニスを曝して…
「すごい…」
真由美の目がおれの股間を射る。
「久しぶりだろ?」
「ほんと、別れて以来よ。男性のを見るの」
「たっぷり、可愛がってくれよ」
「いやだわ、そんな言い方」
つんとして、真由美は浴室に消えた。
真由美の陰部も、濃いヘアが飾っている。
腋にも剃り跡があった。
シャワーを操作している真由美の後ろから抱き着いて、首を曲げさせて唇を奪う。
は…む…
シャワーの湯が二人にかかる。
下から支えるように重い乳房を抱え、それでも乳首には指先が届かないほど大きい。
「バスト、どれくらいあるんだい?」
「そんなこと訊く?」
「いいじゃないか。教えろよ」
「90以上はあると思う。そんなの計らないもの…」
「カップは?」
「いやらしいわね。Eよ。Dだとちょっとはみ出ちゃう」
「Fぐらいあるだろ。これ」
おれはタプタプと揺さぶった。
「しらない…」
須磨子はブラをしなくてもいいくらい、貧乳だった。
乳首がついているのは、体の前後の目印だとか冗談を言っていたくらいだった。

「触ってくれよ」
おれは真由美の手をつかんで、ペニスにいざなった。
「硬ったぁい」
「おまえのせいさ」
「奥さんとしなくなって、どれくらいなの?」
「もう十年近くなるさ」
「この子もかわいそうに」
ペニスを擬人化して言うのが、真由美らしい。
やわやわとペニスが揉みしだかれ、ふくふくした掌が、その形を探るように動いた。
おれのペニスはさらに硬さを増して、歳不相応に反り返る。
こんなに元気になったのは何年ぶりだろうか。
「ああ、たまんないよ」
「え?出ちゃう?」
「やばいよ」
「童貞さんみたいだね。ここで出しちゃう?」
「もったいないよ。まゆの中で出したい」
「そうね。もう妊娠の心配はないから…」
そういうとしゃがみ、シャワーで性器を洗い出した。
おれは、先に湯船に足を入れ、
「もう、生理がないのかい?」と訊いた。
「来月五十四になるのよ。あたし」
立ち上がりシャワーを止めながら答えた。
二人で向かい合い、湯に体を浸す。
若い頃を思い出しながら、「ああ、気持ちいい」と唸った。
水面下に、海藻のように真由美のヘアがたゆたっていた。
その奥に、貝のようなラビアが透けて見える。
手を伸ばし、指でラビアを開く。
「もう…」
真由美は、しかし拒否しなかった。
おれは大胆に、ラビアの奥の洞窟に指を這わせた。
湯ではない、別の液体によるぬめりが感じられた。
そして、可愛らしいクリトリスに到達する。
須磨子と違って、皮に隠れたそれは、簡単には顔を出してくれなかった。
それでも敏感なのはどんな女も同じで、触れれば反応した。
「やん…そこ、だめ」
「気持ちいいんだろ?」
「いい…ばか…」
そういって、潤んだ瞳でおれを見た。
おれの指は遠慮を知らないのか、勝手に侵入を企てている。
「ちょ、ちょっと」
「入ってくよ」
「やだ、もう。変になっちゃう」
「まゆも、あれだろ?ご無沙汰なんだろ?」
「そうよっ!」
そういうと、ざばっと湯船から立ち上がってしまった。
「おいおい…乱暴だなぁ」
「ベッドでいいことしようよ。たかし君」
真由美はおれより三つほど年下だが、会社では彼女が高卒で入社していて同期のようなもので、互いにため口でしゃべる仲だった。
五十三の女の体は、それなりにぽっちゃりと劣化していたものの、自分だってポッコリ出た腹は隠しきれない。
妻の須磨子は身長がおれより高く、175㎝もあったが、真由美とおれは165㎝程度とよく似た背格好だった。
「何見てんのよ」
「あ、いや、変わってないナって」
「うそ、歳食ったなぁって思ってんでしょ?」
バスタオルで体を拭きながら真由美が言う。
「そんなこと言ったら、おれだって、人のこと言えないさ」
そう言って、腹を叩いて見せる。
「たかし君は、昔から筋肉質じゃなかったもんね」
「運動が苦手だったからね」
「あたしもボウリングしか取り柄がない女でございましたしね」
「あれは、すごいと思うよ。今もやってんの?」
「たまにね。会社で誘われるのよ」
「へぇ。男に?」
「ううん。女の子ばかりで」
「そっか…」
本当に、男っ気はないように思えた。
やはり恋愛の対象にはならない年齢に真由美は達していたのだった。
「ふう…」
ため息をついて、真由美がベッドにガウンをまとって横たわる。
乳房が重力に逆らわずに流れる。
乳輪が外人のように薄く、その直径が大きいのが真由美の乳房の特徴だった。
反対に乳首は申し訳程度に小さかった。
おれも勃起を揺らせながら、彼女の横に滑り込む。
「舐めてあげるよ」
そういうと、おれは、真由美の股を開かせ、顔をヘアの中に埋めた。
「なんか、はずかしいわぁ」
「気にすんなよ」
「こんなにおばさんになってるあたしが、こんなとこで」
「おれも、おっさんだ」
「男の人はいいのよ。女はねぇ…あん、そこいい」
おれはクリトリスを舌先で抉り出し、唇で挟んでいた。
ちょむ、ちゅむ…
「あやん…いやっ」
「気持ちいいのかい?」
「いいっ、もっとして」
あまりそういうことを言わない真由美のはずだったが、ずうずうしさもでてきたってことか。
膣のほうから、半透明の液体がとろりと流れ出してくる。
真由美は濡れやすい女だった。
おれは、最初のころ、あまりの汁の多さに失禁したのではないかと訝しんだくらいだった。
それが愛液であることに気づくには経験がなさすぎたのだ。

「もういいかな」
入れようと、おれは準備を整えた。
「ゆっくりね。長くしてないから、痛いと思うの」
「わかった」
おれは膝立ちになって、狙いを定め、亀頭を陰裂に沿わせた。
「うふうん…」
鼻にかかった声で、真由美が応える。
彼女はメガネを取っていた。
そうすると、なかなか淫乱な顔に見える。
唇を半ば開き、両手を頭の後ろで組んで「さあ、来なさい」とばかりに豊かな体を開いている。
おれはゆっくりと、膣をめくるように差し入れた。
「あうっ、ちょっと痛い」
「痛いか?」
「でも大丈夫」
「もう、半分入ったぜ」
「ああー、この感じ…いっぱいって感じ」
恍惚の表情で真由美が口走った。
おれは真由美にかぶさって、唇を捉え、舌をねじ込んだ。
真由美もそれに応えて柔らかい舌を絡めてくる。
ほのかに甘い唾液の味…
その間に、腰を少しずつおれは動かして、突きを加えてやった。
「ははん、あははん…」
真由美の、聞き覚えのある喘ぎ声が始まった。
こうなると、彼女は、茫然自失の状態で、快感に身を任せている証拠だった。
足が空を掻き、恥丘が押し付けられる。
真由美の腕がおれの背中に回り、爪を立ててくる。
「まゆみっ、まゆみっ!」
「たかしっ」
おれも忘我の状態だった。
もはや須磨子の顔は浮かばなかった。
壺の口を肉茎でこじる。
「いひっ!やわん…ゆ…」
口角からよだれを流して、真由美は白目を剥いている。
真由美の内部はとろけるように軟化し、入り口は固く締まるようになった。
まさに蜜の壺だ。
結合部は泡を噛んで、白く粘り、おれの激しい突き上げに真由美は全身で応える。
汗が互いの体を滑らせ、豊かに盛り上がった乳房の谷間に水たまりを作っている。
おれはその水風船にむしゃぶりついて、乳首を吸い上げ、噛んだ。
「ぎゃわ」
赤子のような悲鳴を上げ、鬼のような形相で真由美が反りかえる。
「まゆみっ!」
「らめぇ…こわれるぅ」
そう言って、ぐったりしてしまった。
おれも耐えきれず、溜まりに溜まった精液を真由美の奥深くに叩きつけるように射精してしまった。
長い射精だった。
おれは、真由美の上に崩れ落ちた。
しばらく硬いままだった。
おれにしては、珍しいことだった。
激しい頭痛に見舞われた。
心臓の拍動が頭蓋に響いている。
おれはのろのろと、腕だけで上半身を持ち上げ、腰を引いて結合を解いた。
ごぼっと泡立った白い塊が真由美の膣口からあふれ出る。
そのまま会陰を流れてシーツに大きな染みを作る。
おれはそれどころではなく、真由美の隣に大の字になって、ぶっ倒れた。
こんな激しいセックスは初めてだった。
死ぬかと思った…

死ねばよかったのかもしれない…
(おわり)