前回の図

図形問題3-1
で黄色の図形の周の長さを求めたが、それならこの黄色の図形の面積はいくらなんだ?という疑問が当然湧いてくるはずだ。
それには、まず、以下の黄緑色の部分の面積を求めるという、教科書に必ずと言っていいほど載っている問題を解く必要がある。

図形問題3-4
この場合、直接この黄緑色の図形の面積を求めることが気づきにくい子がするのは、正方形から以下のピンク色の面積を求めて二倍した面積を引く(取り除く)と目的の面積が得られるというものだ。

図形問題3-3
勘のいい子は、扇形ADCの面積から△ADC(直角二等辺三角形)の面積を引いて、二倍するというエレガントな方法で解くだろう。
扇形ADCの面積Pは
P=3.14×9×9÷4=63.59(㎠)
△ADCの面積Qは
Q=9×9÷2=40.5(㎠)
図形AEFCGH(黄緑色の部分)の面積Rは
R=2×(63.59-40.5)=46.18(㎠)
言うまでもないが、この黄緑色の図形の周の長さは半径9㎝の円の半周分であり2×3.14×9÷2=28.26(cm)である。

さて、本題の黄色の図形の面積であるが、これを求めるには「勘の悪い子」が求めたピンク色の図形の面積が必要になってくる。
まず以下の茶色の部分の図形の面積が知りたいのだが、
図形問題3-7
そのためには、先に灰色の部分の面積を知る必要がある。
図形問題3-6
灰色の部分、図形BFCの面積は、9×9の正方形から扇形ABFとそれに合同な扇形DFC、そして1辺の長さが9の△AFD(正三角形)を除いたものだ。
扇形ABF(扇形DFC)の面積Tは∠BAFが30°である(∠FADは正三角形の角で60°ゆえ)から、
T=3.14×9×9×30°/360°=21.2(㎠)
△AFDの面積は、点Fと点Hを結んだ直線の延長と辺ADの交点をJとすると、線FJは辺ADの直角二等分線でありかつ、△AFDの高さとなり、直角三角形△AJFは底辺:高さ:斜辺=1:√3:2である。
すると△AFDの高さhは
√3:2=h:9よりh=9√3/2
△AFDの面積をUとすると
U=9×9√3/2÷2=81√3/4=35.03(㎠)
図形BFCの面積Vは
V=9×9-35.03-21.2×2=3.57(㎠)
ゆえに茶色の面積は、ピンク色の面積から灰色の面積の倍を引いたものだ。
ピンク色の部分の面積をMとすると
M=9×9-3.14×9×9÷4=81-63.59=17.41(㎠)
茶色の部分の面積をNとすると
N=M-2×V=10.27(㎠)

すると、次の水色の部分の面積から茶色の部分を引いてやれば、最初の黄色の部分の面積がでるはずだ。
※いや、黄緑色の部分から茶色の部分の面積の二倍を引くだけでいいんちゃう?とは和多田塾頭のご意見でした。なるほど…
図形問題3-5
水色の部分の面積Kは正方形ABCDから灰色の部分の4倍を引いたものだ。
K=81-4×3.57=66.72(㎠)
ここからさらに茶色の部分の面積の4倍を引くと黄色の部分の面積が出る。
66.72-4×10.27=25.64(㎠)
計算間違いがなければ、合っていると思う。

途中どうしても√3が出現するので、中学生以上でないとこの問題は解けないことになる。
昔から、この正方形内の扇形が作る、不定形の面積やその周の長さを求めさせる出題は多く、受験界では「手垢のついた問題」とされている。