加工食品を買いますと、よくわからない文言がパッケージに書いてあったりするね。
それを表示する義務があってする場合と、消費者に「なんだかわからないけどスゴイ」と思わせるものがあるみたい。
たとえば「湯捏ね生地」による食パンとか、「成分無調整」の牛乳、「濃縮還元」の100%フルーツジュースとか、「コレステロール0」の食用油なんての。
はたまた「遺伝子組み換えでない」大豆を使った豆腐だったりする。
「糖質オフ」「プリン体0」の発泡酒もよく見る。
「希少糖」のガムまであった。

「湯捏ね生地」とは、別名「湯種(ゆだね)」製法で作られたパン生地です。
小麦粉を水で捏ねるのが普通の製パンですけれど、食感改質のために水だけではなく一部にお湯(熱湯)を使います。
従来法との比較は「農研機構」のホームページを参照してください。
パン製品のでんぷん老化が遅くなり、もちもち食感が得られるなどのメリットがあるそうですが、発酵ガスの保持が十分でなく、ガス抜けしやすくパンのボリュームが出にくいようです。
そして発酵時間も長引いてしまい、作業性は悪くなるのです。
「湯捏ね生地」を100%使うのではなく、従来の生地に2割ほど「湯捏ね生地」を足すくらいが、食感、生産性においてバランスの取れたものになるようです。
したがって、消費者にとっては「湯捏ね生地」パンを買い求めるほうが「おいしい」のですね。

食パンなどの表示で「イーストフードを使っていない」という表示もありましたね。
これは、どうなんだろう?
パンには「イースト菌」の発酵が欠かせない(発酵させないパンもあります)のですが、そのイーストの発酵を促す化学品が「イーストフード」です。
この言葉の字面だけなら「イーストのえさ」みたいな印象を与えますが、どっちかというと「肥料」ですね。
イースト菌は植物性の酵母菌ですので、こういった肥料があると、盛んにでんぷんを糖化して二酸化炭素を吐き出します。
これがパンを膨らませるのです。
※小麦のタンパク質「グルテン」が気泡を保持してスポンジ状にパン生地をします。よって、製パンにはグルテン分の多い「強力粉」を使います。

「イーストフード」は化学肥料なんですよ。
だいたい塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、硫酸塩やリン酸塩とビタミンCが含まれます。
ネット上では「イーストフード=毒」のように書かれていて、その根拠は薄弱です。
イーストフード入りのパンは「怖いパン」なんて無知な母親を扇動するような記事も見かけますが、そんなことより後で述べる「グルテン」のほうが怖いんですよ。実は。
もちろん、イーストフードなしに製パンはできます。
時間がかかるだけでね。
こだわりのパン職人のお店のパンなら、イーストフードを使わずに、丁寧に作られているんじゃないですかね。
♪朝一番、早いのは? パン屋のおじさん…という歌もあるくらいで、朝早くからパン作りをやらないと、お客さんに間に合わないのよ。

パンに欠かせない小麦タンパクの「グルテン」が深刻な病気を起こす原因になっていることがわかったのはつい最近です。
麺類のコシにも必要なこのたんぱく質がどうして有害なのか?
はっきりしたことはわかっていないけれど、パンをたくさん食べる人や小麦製品をよく食べる欧米人に、原因のわからない下痢などの消化器障害が出て衰弱する病気が多発しています。
他人のタンパク質は「毒」なのだということを、いまさらながら思い知らされます。
自分のタンパク質に対して免疫反応を起こす、自己免疫疾患(リウマチなど)も深刻ですが、他者のタンパク質を取り込めば普通に免疫細胞が攻撃して排除します。
そうでないと感染症に勝てませんから。
病原体に対してはそれでかまわないけれど、摂食で体内に取り入れた異種のタンパクに対しても、アミノ酸に分解する前に免疫反応を示してしまうと、食品アレルギーとなって病気になります。
そう、グルテンに敏感な人は、食品アレルギーがでているのかもしれない。
どうやら小腸の柔突起の粘膜をグルテンに対する免疫反応で破壊してしまうようです。
そうなると、水分や栄耀吸収に重要な役割のある小腸が働けなくなり、下痢や腹痛、下血、栄養失調へと症状を悪化させていくのですね。
不思議なのは、人間の歴史において小麦とのかかわり合いは有史以前にさかのぼり、これまでそんな病気はなかったというのです。
なぜ、小麦が最近になって人類に刃(やいば)を向けるようになったのだろう。
小麦はタルホコムギを祖先とする植物で、現代の小麦の遺伝子とはかなり異なっています。
品種改良の結果そうなったのだそうです。
倍体や四倍体、八倍体と染色体の数も膨大になっているそうです。
そうすることによって病気に強く、粒の大きい、収穫量の高い品種が選抜されました。
それだけなら、数千年ていどの時間です。
今世紀に入っては、遺伝子組み換えという神の領域に手を出した科学が小麦をさらに強くしました。
遺伝子組み換えによって小麦のグルテンもこれまでの交配で改良されたものとは、かなり異なった未知のタンパク質になったらしい。
そうすると、それを摂取した人の中には、うまく消化できないどころか、免疫反応を発動させて排除しようとするようになります。
こうなると、アレルギー反応になってしまいます。
※遺伝子組み換えの効果が出るのはあくまでもタンパク質だけであり、遺伝子組み換え植物由来のデンプンや糖、油脂には影響しませんので、そういった食材を怖がる必要はありません。

遺伝子組み換え植物は、遺伝子組み換えでない同種の植物との交配で地球環境が脅かされるのではないかという問題も含んでいます。

「湯捏ね」からえらい話が飛びました。
「濃縮還元」のジュースについては前に書いたと思います。
果実をそのままジュース工場に運ぶと、傷むし、重さもかさも高いですから、運搬コストが余計にかかります。
そこで果実を産地で搾って、凍結して濃縮します。
こうしてサイズダウンした濃縮果汁を空輸するなりしてジュース工場に運び、その工場で加水して元の濃度に戻す(還元という)のです。
工程上、べつに消費者に不利益になるような技術ではなさそうです。
ところが、問題はその果実が中国などの農薬まみれ、腐った果実の混合が疑われる地域のものだったら困るでしょう?
100%ジュースが安いでしょう?安いのは中国などの果実が使われています。(偏見か)

「成分無調整牛乳」は法定されていて、生乳(乳牛から絞ったまま)をそのまま殺菌して瓶詰かパック詰めにしたものです。
乳牛のお乳は季節によって含まれる脂肪分(固形分も)が異なることは良く知られていますね。
だから「成分無調整牛乳」の乳脂肪分は一定していないのです。
逆に脂肪分が規定されているものはその脂肪濃度に希釈しているのかもしれません。
「ホモ牛乳」は同性愛の人が飲むものではなく「ホモジナイズ(均質化)」された牛乳という意味です。
搾りたての生乳はしばらくすると脂肪分と水分が分離します。
分離させないためにホモジナイザーという特殊な撹拌機で生乳をかき回し、油脂の粒子を細かく砕き、水中で安定に浮遊するようにします(安定ミセル)。

「コレステロール0」の食用油は嘘ではないが、書く必要のない表示です。
昔から、食用油にはコレステロールなどは含まれていません。
工程上完全に取り除かれ「油かす」にコレステロールは含まれています。
もしコレステロールが油脂に含まれると濁りますから。
だからなんでわざわざ表示するのだろう?
消費者を騙すだけだな。
※厚労省監修の「食品成分表」を参照してみてください。大豆油に少し(1%)程度コレステロールが含まれるようです。ナタネもゴマもコーンもみんな0です。バターだって0だもん、驚きだ。

「糖質オフ」「プリン体オフ」の発泡酒は「吞兵衛」にとって魅力的ですかね。
ビールにプリン体が含まれるのは酵母由来です。
酵母の核酸(DNA,RNA)からくる塩基性物質、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミンがプリン構造または類似の構造をもっているから「プリン体」と総称されます。
これらの物質は結晶体で、代謝されないと関節などに結晶化して、石のようになり、関節が動くたびに激痛が伴います。
いわゆる「痛風」ですね。
ビール酵母はビール製造時に漉しとられ、固形分とビールに分離されます。
しかし、プリン体はビールに若干溶けているそうです。
ビールを浴びる程、飲む人は気を付けなさいということらしいけど、本当はそんな量は知れていると思います。
ビールだけで痛風になるわけじゃないと思います。
要は一緒に食べるつまみですよ。
もっとプリン体の多い、魚卵、肉、魚など細胞を丸かじりするようなおいしい食材がいけません。
「糖質オフ」も眉唾です。
ビールや発泡酒に含まれる糖質なんてもともと少ないですよ。
発酵によって糖質はエチルアルコールに変化するでしょう?
未発酵の残渣は漉しとられ、若干の水溶性糖分が酒の味を与えています。
たかが知れています。
蒸留酒に至っては糖質なんかないですからね。
それより「うまい」ビールが飲みたいです。
発泡酒のようなまがいものじゃなくって。

「希少糖」とは聞きなれない添加物です。
糖なんですよね。
代謝されない糖、身につかない糖、自然にはあまりない糖ということで注目の物質です。
虫歯にならない「キシリトール」、身につかない「L-グルコース」(D-グルコースとは光学異性体で、体内で分解できない)などなど不思議な糖がこれらにあたります。
希少というからには、自然界から得るのも難しいようです。
これが人体にどんな影響を与えるのかは未知です。
怖い人は食べない方がいいかもね。

まだまだ人を惑わす食品の表示がありますが、疑ってみてくださいよ。
科学とは疑うことです。