バターの香りは、食欲をそそるでしょう?
焦がしバターなんてのは、もう、へなへなとなってしまうくらい、いい香り。

しかしながら、バターの香り成分の酪酸(ブタン酸、butanoic acid)は、純品はえぐい匂いですぜ。
へそのごま、ホームレスの人からほんわか漂ってくる匂い、洗ってない足の匂い…あれですわ。

ブタン酸の語源はバター(butter)から来ています。
だから炭素数四つのアルキル基(butyl)の語源もそうです。
butane→butyl alcohol(butanol)→butyl aldehyde(butanal)→butanoic acid(butylic acid)
このように右へ行くほど酸化が進んでいます。
ブタンは液化が容易なガスで、百円ライターに使われています。
ブチルアルコール(ノルマル)はフーゼル油として、アルコール発酵での不純物として存在し、これの多い酒を飲用するとひどい二日酔いになり頭痛がします。
ブチルアルコールは重い悪臭があります。
ただ、ブチルアルコールと酢酸のエステルは果実の香りになり、菓子等に使われます。
ブチルアルデヒドはかなり臭い。悪臭防止法で特定悪臭物質に指定されています。
そして酪酸です。少量だとバター臭ですが、多いと、何日も風呂に入っていない人が発する匂いになります。
バターやチーズがともすればそんな匂いがするというので嫌う日本人もいます。
牛乳が乾いたときにする匂いが酪酸ですね。

納豆も汚れた靴下のような匂いだといって、喜んで食う日本人もどうかしてますが、どうやらクサヤとか、たくあんとか、とかく人は臭いものを食べたがるようです。

あなたの彼女が「乳製品のような甘い匂いがする」といって、その体を嗅いだことがありませんか?
若いころは、新陳代謝も盛んなので、若い女性はそんな匂いがして、男の子を惹きつけるんですね。
そういえば、あたしも塾で小学生を相手に勉強を教えていると、彼ら、彼女らの頭からそんな匂いがすることがある。
決して嫌な匂いじゃない。むしろ、鼻を近づけて嗅ぎたくなる。

化学者の嗅覚で感じると、やはりあれは酪酸だろうと思う。
濃度が低いので、バターのようないい匂いなのだ。

皮脂には少しだが脂肪の分解物として酪酸が含まれるようです。
酪酸菌という腸内菌が食べ物由来の油脂から酪酸を産生するらしい。
「ミヤBM」という酪酸菌整腸剤が便秘症患者に処方されることがあるけれど、あれがそうです。

人のぬくもりを感じる匂いに酪酸は必須なのです。
へそのごまを嗅いで、ニヤニヤしている人いませんかい?
なんか癖になる匂い…酪酸。