「阿騎子、あなた、男の人のあそこって見たことある?」「ううん」
「じゃ和明さんので、いっしょにお勉強しましょう」

ぼくは、酒で朦朧とした状態で畳の上に転がされていた。
ベルトに清美の手がかかり、バックルが外されているようだ。
ぼくの体は他人のもののように動かない。
金縛りというやつだろうか?頭はだんだんはっきりしてくるが、どこか離れた場所で自分を見ているような感覚だった。
下半身を露わにされる…
「うわ」
「まだ小さいでしょう?でもこうやって皮を剥いて…」
勃起していない状態を異性に見られるのはたまらなく恥ずかしいものなのに、ぼくは抵抗できないでいた。
「なんか、グロいわ」阿騎子の声だった。
清美の冷たい手がぼくを握ってくる。
「赤ちゃんを作るために必要なことなのよ」「それはそうだろうけど…」
母娘の乾いた会話が続いている。まるでぼくは実験台だった。
「大きくならないわね。お酒が過ぎたのかしら」「だって和明さん、寝ちゃってるもの」
ぼくは、目をつむって聞いていた。
しかしこのシチュエーションは、かなり異常で、男としては「嬉しい」部類に属する体験ではないだろうか?
そう考えると、清美の手指の感覚がぼくの性感をくすぐった。
ぼくにはマゾっ気があるのかもしれなかった。
「いたぶられている…」これは新たな喜びだ。

そう考えるとペニスに血液が送り込まれ、ゆっくりと鎌首をもたげさせたのである。
「あら、あら…どうよ」
「すごい…こんなになるのぉ?」
おそらく隆々と彼女たちの前で「雄姿」を見せているにちがいない。
ぼくは声だけで妄想を広げるのだった。
薄目を開けて彼女たちの表情をうかがいたいものだが、我慢して寝たふりを続けた。
清美の手がペニスを上下にしごく。
「ほら、さわってごらん。とっても硬いのよ」
すると別な手がぼくを握る。
「あら、ほんと…硬いのねぇ」
「硬くないと、あそこに入らないでしょう?」「こんなの入れるの?怖いわ」
「みんなそうやって赤ちゃんを作るのよ。あなたたちは夫婦になるんだからちゃんとしないとね」
勝手に彼女たちはぼくの将来を決めてしまっているような口ぶりだった。
「夫婦って…母さん」
阿騎子がためらっている。
「そのうち、そうなるのよ」
「でもぉ」
ぼくはこのままどうなるんだろう。
清美のねっとりとしたマッサージは続いている。このまま射精させるつもりなのだろうか?
「阿騎子もやってごらん」
「こうするの?」
こわごわ握って母親のするとおりにこすってくる。
「起きないかな?」「大丈夫よ。ぐっすり寝てる」
「ここ、こんなにして?」「夢でも見てるんでしょ」
ぼくは、笑いをこらえるのに必死だった。
「なんか出てきたよ」
先走りの液が出てしまったのだろう。
「感じてるのよ。もうすぐアレが出るわ」「アレって?」
「精液よ」「こうやって続けてると出るの?見てみたいわ」
「じゃあね、こうしたらいいかも」
清美がそういうと、ぼくの勃起は何か温かいところに包まれた。
「いやん。母さん…汚いよ」
そう。ぼくはフェラチオをされているのだった。
「みんなやってることよ」「でもぉ」
母娘がとんでもないことをやっているのである。
「阿騎子は手だけでやってあげなさい」と清美が言い、また頬張ったようだ。
粘液質の音を派手に立てながら、亀頭が吸われ、巧みな舌使いで舐めあげられる。
唾液で濡らされた熱い勃起が外気に冷やされ、さらに硬く力がみなぎる。
射精に向けて、ぼくは昇りだした。
こんな気持ちのいいことなど、今まで経験したことがなかった。
「ほら、びくびくしてきたわ、ここからは阿騎子がこすってあげて」
「これでいいの?すっごく熱いよ。痛そうだけど」
「大丈夫よ。気持ちがいいはず。タマタマちゃんが上がってるでしょ」
「ほんとだ」
うあぁああ!
ぼくはたまらず声を上げてしまい、あえなく射精してしまった。
「わぉ、どうしよう。止まんないよ」
「すごいわね、和明さん。起きちゃった?」
「な、なんなんですか、こんなことして」と、ぼくは恥ずかしさで、起きて一部始終を知っているくせに、しらばっくれてやった。

「ごめんなさいね。まあまあ、こんなに出すんだもの」
ティッシュで拭こうとするが、ぼくは自分で始末するからと清美さんからティッシュを奪った。
阿騎子が目を伏せて「ごめんなさい」と詫びた。
「い、いいんですよ。気持ちよかったし。でも親子でこういうことするかなぁ」
「阿騎子は、まったくのネンネなんですよ。だからこうやって教えてやらないとと思って」
清美が、おかしな言い訳をする。
ぼくは清美が一般の女性とはかなりかけ離れた考えの持ち主と思った。
この間、不覚にもぼくと清美は体を許し合ったが、それは自然な成り行きだった。
けれど、今回は、まったく違う。
性的倒錯だと言ってもよかった。
しかし、次第に射精後の後悔が薄れ、ふたたび、性欲が勝ってくると、この母娘と快楽の虜になるのも悪くないと思えてきて、背徳の気持ちよりもぼくに特別に許された「僥倖」ではないかとまで思うのだった。
「じゃあ、破廉恥ついでに、清美さんと阿騎子ちゃんをぼくがいたぶってもいいですか?」
「阿騎子。どうする?」
意外にも、娘をうかがう母親だった。
「あたし…怖いわ」
「母さんは、いいわよ。阿騎子に言ってなかったけれど、母さんと和明さんはもう関係しているの」
「え?」
驚いた表情の阿騎子だった。
ぼくも「それを娘に言うか」と内心思ったが、どうせわかることだ。
「ね、三人で楽しみましょうよ」
清美が嬉々とした声でぼくら二人を誘ったのである。
背徳一家が、ここに誕生したのだった。

清美は、娘の初体験に避妊を禁じた。
カトリックに近い彼女らの信仰が、避妊を禁じているのである。
ぼくは、阿騎子と交わり、孕ませることで「入信」したのである。
これを「イニシエーション」と言うのだと清美が教えてくれた。
イニシエーションのあと、娘の前で清美とも交わった。
これぞ「三位一体」の体現だといい、エホバの神に誓ったことになるのだった。
アーメン

(おわり)