大阪の親は子供の将来に期待していないらしい。
そういう調査結果が毎日新聞に載っていた。

まあ、みんながみんなそういうわけじゃなくって、期待していないか、もしくは期待できない親の比率が全国平均より多いということらしい。

原因は貧困だそうだ。
そして、母子家庭が沖縄とともに多いのが大阪だった。
生活苦で、子供のためにしてやりたいことができないでいる親が多いんだね。
子供も親の苦労を知っているから、無理を言わない。
そして貧困の連鎖、格差の固定がじわじわ起きる。

履正社高校と大阪桐蔭高校のセンバツでの決勝戦を観ながら、あの子たちは恵まれているんだろうなと思った。
野球はお金がかかるんだよ。
そんでもって私立だしねぇ。

あたしなんかも、リトルリーグでユニフォーム代やらグラブ、交通費の出費でけっこう親は大変だったんじゃないかな?
そんなに豊かな家庭じゃなかったし。
母は、ナショナルのはんだ付けの内職をしていたぐらいだし。
※パナソニックは昔「ナショナル」というブランドネームだったんだよ。

とはいえ、一人っ子のあたしは、たいそうわがままを聞いてもらえたようだ。
父さんが、だいたい、あたしに甘かった。
大学までやってもらえたのも、甘え方が上手だったからかもしれない。
工学部はお金がかかったのよ。
教科書代だけでも、一年間に十万円はかかってた。
同居していた叔父が家にお金を入れてくれていたのが幸いしていたと思う。
叔父は関西電力に勤めていたから、お給料は良かったと思う。
父の仕事は不安定で、たまに大金を持って帰ってくるけど、母親はあてにしていなかった。

叔父と母が男女の関係にあるんじゃないかなんて、年頃のあたしは勘ぐっていたくらい叔父は父より存在感があった。
父は弟のことに口を挟まなかったし、叔父も兄に横柄な態度はとらなかったけれど。

あたしのことはそれくらいにして、「JARL NEWS」の今年の春号には「青少年向け科学啓発イベント実施のノウハウとその実際」という特集が組まれたので、それに絡めて子供らが夢を持てる社会になっていけたらと思って、この記事を取り上げたい。

今の日本は、夢を持ちにくい社会だとはよく言われます。
先の、大阪の親が貧困で子供に期待しないというニュースと大いに関係があると思います。

JARLとは「日本アマチュア無線連盟」の略称であり、その機関紙が「JARL NEWS」なんですね。
アマチュア無線家なら普通はこの連盟の正会員になっているはずですが、ダンプの運ちゃんなどの単に仲間内でおしゃべりしている「軽い」無線家は何千円も会費を払ってまで入会しないでしょうね。
あたしはちゃんと入会してます。
だから機関紙をもらっているんだけどね。

で、この機関紙にはよく「青少年向けの科学啓発」をテーマに取り上げるんです。
スマホやSNSの時代にアマチュア無線がどれほど彼らの心に訴えるか疑問ですが、まだまだ「毒されていない」少年たちなら、「アマ無線ってすごいな。やってみたいな」と思うんじゃないかと大人は期待してるんですよ。

スマホだって立派な無線機なわけで、電波利用という技術なしには成立しないということを純粋な子供たちにまず理解してもらう。
そして電波は遠くの人との会話を助け、手紙より早く確実にコミュニケーションを取り合える「魔法」なんですよ。
その魅力をまずは国際宇宙ステーション(ISS)との交信で知ってもらうというのがアマチュア無線連盟のやり方なんですね。
これをARISSスクールコンタクトと言います。
NHKなんかでもよく取り上げられていますので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。
地球を周回する国際宇宙ステーションにアンテナを向けて、宇宙飛行士と数分間の交信を実施するんですが、高速で飛び去るISSに超短波のアンテナで追跡するのは至難なんですよ。
とても子供たちだけではできないし、ベテランアマチュア無線家でも失敗します。
そんな中で、大人たちが一生懸命に衛星を追いかけ、交信をする姿を子供らに見せ、させてみることで科学や宇宙への希望がはぐくまれるのではないかと、あたしも思います。
空の彼方から宇宙飛行士の声が届き、こちらかの呼びかけに答えてくれる…
天気の良い日なら、双眼鏡で国際宇宙ステーションを肉眼で追いながら交信できるんですから、その感動は何物にも代えがたい経験になります。

そして「なぜ?どうして」という疑問がわき、大人たちが答えに導いてあげるんです。
不思議を不思議で終わらせないことが大事なんですよ。

2005年に「愛・地球博」というイベントが愛知県で開かれました。
モリゾーとキッコロのキャラクターは、今も覚えている方いらっしゃるでしょう?
あの博覧会でアマチュア無線連盟の東海地方本部がブースを出し、ARISSスクールコンタクトを実施したのが最初だと言います。
それだけでなく、子供たちに体験型のイベントとして、電子工作を名古屋大学の先生の協力を得て実施したそうな。
これが大人気を博し、その後のアマチュア無線連盟が目指す科学啓蒙の一つのモデルとなるんですね。
もう一つの成功例は今も続く、「関西ハムの祭典」です。
今の時代「ハム」と言われて「アマチュア無線家」を指すとは思われず、たいてい食品の「ハム」を連想すると思います。
そんなことはお構いなしに関西のアマチュア無線連盟支部は、「関西ハムの祭典」(通称:KANHAM)開催を伝統にしてしまいました。
そこでも青少年育成へのイベントは盛りだくさんです。
毎年、夏休み前の「海の日」の連休を利用して開催されるのは、子供たちが参加しやすいようにです。

最近は、はんだ付けのいらないブレッドボード式配線も普及し、電子工作のハードルが下がりました。
簡単なラジオやLEDを使ったイルミネーション、うそ発見器、電子びっくり箱、電子ルーレットなどなど子供の興味を引く工作例がたくさん紹介されています。
アマチュア無線に近い工作ではモールス練習器(発振器と電鍵の組み合わせ)がよく利用されるようです。

トランシーバーが子供のあこがれの玩具だった昔と違って、無線は新鮮でないかもしれない…
ところがそれは杞憂に過ぎず、ケータイ電話やインターネットとはまた違う味わい方を子供たちは受け取っているようです。
免許が必要で、かっこいい無線機の前で、マイクで宇宙ステーションとしゃべる…
ガンダムや宇宙戦艦ヤマトの世界に飛び込んだような緊張感。
選ばれた人だけが享受できる優越感のようなもの。

アマチュア無線には無限の可能性があり、それを大人が示してやる必要があるのです。
災害時にはいち早くアマチュア無線家が情報を整理して発信する義務もあるのですから、高度なインフラが必要なケータイ電話やインターネットよりもアンテナ一本とバッテリーでどこからでも通信できる無線こそ「骨太」で頼れる技術です。
アマチュア無線が非常に「インテリジェンス」で「クール」な趣味だということを子供たちに発信していく必要があるのです。

子供たちの夢が「貧困」なんかで潰(つい)えないように、大人が助けてあげなければならないと思うのです。