この季節、修学旅行のシーズンだね。
今年は、新型コロナのせいで、取りやめになったり、地元に行先を変更したりで大変なようだ。
私の小学校の修学旅行の行先は、犬山城とモンキーセンター、明治村、鈴鹿サーキットと廻った一泊二日の旅でした。
男の子には二日目の鈴鹿サーキットが大人気だった。

バス旅行だったから、みんなで歌うんだね。
歌詞カードも先生が作ってくれて。自分たちで作ったんだったっけ?忘れたな。
持ち物リストや行く先々の見どころなどの入った謄写版印刷の小冊子だったと思うけど。

「さあ、次はだれが歌うの?」
「前田さんと鈴木さんが、森昌子のせんせい、歌わはるねんて」
「ほな、マイク回してあげて」
てな具合。
「てんとう虫のサンバ」とか「瀬戸の花嫁」、「ブルーライトヨコハマ」、「海のトリトン」などが次々に歌われる。
問題児「かっちゃん」も、ごきげんさんで気炎を吐いている。
バスは笑い声を乗せながらひた走るのです。

旅館に着いたら、あの独特のお料理の香り。大広間の。
お出汁とか焼き物のないまぜになった香りが、子供ながらに「旅に出たな」と感じさせるんです。
栗ご飯がおいしかったな。
お風呂がまた、大騒ぎでね。私は銭湯に通っていたからあまり恥ずかしくなかったけれど、家風呂の子は恥ずかしいみたいでもじもじしながら脱いでいる。
男の子の方は知らないけれど、かっちゃんがいる以上、「どんならん騒ぎ」になっているだろう。

女の子もね、毛が生えるお年頃だしね、おっぱいも目立つほど大きい子がいるわけだし、それなりに騒ぎになりますよ。
あたしなんか、まだ、戸板みたいな胸やったから「かずみちゃん、ぼいんぼいん」なんて、からかってるほうだった。
担任の中村先生も入ってきはって、やっぱり大人やね、お母ちゃんぐらいのお胸で、あそこもぼうぼうやった。
先生は、まだ二十代半ばを過ぎたくらいやったと思う。
「みんな、ちゃんと洗うてる?背中、洗いっこしよか」と先生。
椅子をもってきて並んで、ジェンカみたいに連なって前の子の背中を洗ったげるねん。
こういうのが生きた教育なんやろなぁ。
修学旅行は、裸の付き合いで、クラスの絆が深まるんよね。
だから今も、その思い出が私を支えている。
もう、みんなの消息も知れないけれど、どっかで同じ空を見て、同じ月を眺めてるんやろなぁと思ってる。

名物「枕投げ」の経験ないけど、男の子は盛大にやらかして、廊下に正座させられて教頭先生の「お言葉」をたっぷり聞かされてたそうや。
これは後日譚というやつ。