ポビドンヨード(ポリビニルピロリドン・ヨウ素溶液)配合のうがい液(かつてイソジンと呼ばれていたもの)が、吉村大阪府知事の昨日の発言以降、店頭から姿を消しているそうだ。
大阪のある医師の研究結果によれば、ポビドンヨード液でうがいをしたグループとそうでないグループに口内の消毒度に有意な差が出て、ポビドンヨード液うがいグループでPCR陽性度が下がり、おまけに重症者になる率も減ったというのだ。
これはある意味当たり前で、口内がヨウ素によって消毒されたからで、唾液が清潔になり、その飛沫には新型コロナウィルスが含まれていなかったから飛沫感染に至らなかったことと、唾液の誤嚥、吸い込みによる重症化が防げたということなのだろう。

かなり前から、次亜塩素酸水溶液の噴霧で室内を消毒すると有効だとかというデマが広まっていたが、あれも全く根拠がないわけではなく、塩素というハロゲンが微生物やウィルスを死滅させる効果があるからで、噴霧ではなく、たとえば感染者の身の回りを次亜塩素酸ナトリウム水溶液で拭いたりすることは極めて有効なのである。
そしてヨウ素もハロゲンであることは、周期表をみれば明らかで、人体に安全に使える消毒剤として「ヨードチンキ」や「ポビドンヨード液」は昔から使われてきた。
ここで、ポビドンつまり、ポリビニルピロリドンとは、水溶性合成高分子のことであり、ヨウ素の安定化剤として液に粘性を与えるために配合されているにすぎず、消毒効果には、なんの影響もない。

吉村大阪府知事が、記者会見の席で、市販うがい液を手にしてその効用を言ったもんだから、だれも「ガセネタ」とは思わず、みなさん薬局に走ったわけだ。
厚労省は、慌てて、そのような説には証拠が不十分といって火消しに回っているようだ。
やはり、知事ほどの立場の人間がこういう言い方をすると、買い占め騒動に発展するのは容易に予想できたはずで、もう少し発言を考えてほしいところだ。
また隣に座っていた松井大阪市長が「有効とわかっていて、府民に知らせないなんてことがあるか」と気色ばんだ発言も買い占め行動に拍車をかけただろう。

私個人の意見では、ポビドンヨード液による一日数回のうがいは「有効」だと思う。
これは、松井さんではないが、今日からでもやってほしいと思う。
ハロゲンを含んだ消毒は、医療現場では当たり前に使われているし、おそらく地球上の生物でハロゲンに勝てるものはいないだろうからだ。
※痰の吸引に使う管の消毒はヨード液を使っているはずである。
ハロゲンは強力な消毒剤であるから、人体にも少なからず影響があるので、トランプ大統領のように次亜塩素酸水溶液を注射するなどは絶対してはならないし、ポビドンヨード液(イソジン)も飲んではいけない。
特にポビドンヨード液は人体に直接使ってもよいとされるハロゲン製剤なので、制約がある。
・乳幼児には使わないこと
・妊娠中の女性には使わないこと
・甲状腺の病気を持っている人には使わないこと(専門医の判断のもとに使える場合あり)
甲状腺は甲状腺ホルモン(基礎代謝をつかさどるホルモン)を分泌する臓器であり、そのホルモンはヨウ素を含んでいる。外からヨウ素を大量に摂取した場合、この甲状腺ホルモン分泌が抑制されてしまい(ウォルフ・チャイコフ効果)結果的に甲状腺ホルモン低下に伴う疾患を起こしてしまう。

ところが、うがい薬として外用で使う場合には、ほぼ体内に取り込まれることはないので、安心してうがいをしてよい。
ポビドンヨード液で適度にうがいをすることで口腔内を清潔に保てば、もし自分が感染者であっても人にうつす可能性は小さくなるのだ。
※もちろんPCR検査をもっとしなければ、その効果も検証できないが。

また、嚥下力の弱い老人には、重症化を防ぐ意味でも効果を期待できる。
口内の常在菌まで殺菌してしまうので感染に対する抵抗が弱まるのではという指摘は杞憂に過ぎないと私は思う。
吉村知事や、松井市長が言いたかったのはこのことなのである。
しかしながら、彼らの不用意な発言で、必要なところにポビドンヨード液が行きわたらない結果を招いてしまったことは残念でならない。

ここにきて、もっともオーソドックスな「手洗い・うがいの励行」が見直されてきたことに、遠回りした感がぬぐえない。