ネパールの女子高生Dさんの夏休みの課題を一緒に取り組んでいる
θ=23π/6のとき、sinθ、cosθ、tanθを求めさせるのが高校2年生の数Ⅱに出てくるのだが......
「6分の23πって?」
あきらかに分子が大きい「頭でっかち」の分数だ
θは角度である
それも弧度法という特別な角度の表し方だ。その単位は度ではなくラジアンである
その中心角に対応する弧の長さが一つ決まる
半径をrとすると
弧の長さ=θr
のちに述べる単位円の場合r=1であるから、その場合、弧の長さはθに等しい
分度器と弧度法の違いは、なかなか受け入れがたい
三角関数のつまづきはこんなところにもあるのだ
円と中心角は円周率を定数とする関数である
これは角度が度で表されようが、ラジアンであろうが変わらない事実である
円周を分割すると弧ができる
その弧は円周角と対応する
円周の公式は小学生でも知っている円周=2π×半径である
単位円(半径=1)で考えれば、円周=2πであろう
つまり中心角が360°(一周分)の弧が2πなのだ
では半円ならば、2π/2=πと弧の長さを簡単に表せる
典型的な中心角なら、90°の弧の長さはπ/4(四分の一円)、60°の弧の長さはπ/3(六分の一円)、30°の弧の長さはπ/6(12分の一円)である
三角関数で弧度法を使うのは、単位円で考えるときに便利だからだ
単位円とはx-y座標の原点に中心を持ち、半径が1の円である
この半径の線分は原点回りにぐるぐる回すことができる
単なる測量で利用されてきた三角比が、三角関数という周期関数になる意味がここにある
三角関数は振動や電磁気学を大きく発展させた
中心角θはx軸と半径との成す角であり、y=0から半径を起こして半周でπ、一周で2πとなることは先に触れたとおりだ
単位円周上の点の座標は(x,y)で表され、三角関数で表すと(cosθ,sinθ)であらわすことができるのだった
「これはね、23π/6を11π/6+12π/6と分解するんだよ」
「は?」
「つまり23=11+12にするの」
「はえ?」
どうも要領を得ない
「12π/6ってさ、2πだよね。約分すると」
「そうですけど」
「これって単位円での1周分だ」
「それはわかる」
「じゃあ11π/6は?」
「1周分のちょっと手前かな」
「そうだよ、そうそう」
2次元座標では、第一象限、第二象限、第三象限、第四象限に分かつ慣習がある
第一象限では座標が(+,+)で正、第二象限が(-,+)で負、第三象限が(-,-)で正、第四象限が(+,-)で負になることが示される
三角座標が座標軸の正負に影響するのだ
sinθ=y、cosθ=x、tanθ=sinθ/cosθ=y/x
の三角関数において、x軸、y軸の正負を各象限で調べれば自明のことである
このことは三角関数を扱うときによい見通しになるのだった
「単位円は反時計回りに半径を回していくのが決まりなので、中心角が11π/6はどうやら第四象限に来そうだね」
「そうですね」
このように問題の23π/6をいじくりまわすことを経験させたかった。でもこれでは何をやっているのかかえって混乱させてしまう
「もっとわかりやすくしよう。問題の式は24π/6-π/6とも書けます」
「うわ」
「24π/6は4πなので単位円を2周したことでθ=0です。するとーπ/6だけが残るね」
「あ、マイナスがついているからこんどは時計回りですね」
「そう。π=180°だから、これを6で割ったら、θ=30°。つまりーπ/6=-30°のことだよ」
「中心角30°の直角三角形をさかさまにしたことと同じ?」
「そうよ。第三象限の図形ではそうなります。つまり垂線の長さが負になります。これは座標だからです。平面幾何の世界では正の数しか扱いませんでしたが注意してください」
「sin(23π/6)=sin(-π/6)と考えるのですね」
「その通りで、中心角30°の典型三角形は1(垂):2(斜):√3(底)だったね。単位円の円周上の座標で表すと(-1/√3,2/√3)となりますね」
「sinθ=-1/2、cosθ=√3/2、tanθ=-1/√3」
「はい正解です」
「タンジェントは有理化すべきですか?」
「してもしなくてもいいです。模範解答ではしていませんね」
夏休みの課題はこれからも続くのでした
θ=23π/6のとき、sinθ、cosθ、tanθを求めさせるのが高校2年生の数Ⅱに出てくるのだが......
「6分の23πって?」
あきらかに分子が大きい「頭でっかち」の分数だ
θは角度である
それも弧度法という特別な角度の表し方だ。その単位は度ではなくラジアンである
その中心角に対応する弧の長さが一つ決まる
半径をrとすると
弧の長さ=θr
のちに述べる単位円の場合r=1であるから、その場合、弧の長さはθに等しい
分度器と弧度法の違いは、なかなか受け入れがたい
三角関数のつまづきはこんなところにもあるのだ
円と中心角は円周率を定数とする関数である
これは角度が度で表されようが、ラジアンであろうが変わらない事実である
円周を分割すると弧ができる
その弧は円周角と対応する
円周の公式は小学生でも知っている円周=2π×半径である
単位円(半径=1)で考えれば、円周=2πであろう
つまり中心角が360°(一周分)の弧が2πなのだ
では半円ならば、2π/2=πと弧の長さを簡単に表せる
典型的な中心角なら、90°の弧の長さはπ/4(四分の一円)、60°の弧の長さはπ/3(六分の一円)、30°の弧の長さはπ/6(12分の一円)である
三角関数で弧度法を使うのは、単位円で考えるときに便利だからだ
単位円とはx-y座標の原点に中心を持ち、半径が1の円である
この半径の線分は原点回りにぐるぐる回すことができる
単なる測量で利用されてきた三角比が、三角関数という周期関数になる意味がここにある
三角関数は振動や電磁気学を大きく発展させた
中心角θはx軸と半径との成す角であり、y=0から半径を起こして半周でπ、一周で2πとなることは先に触れたとおりだ
単位円周上の点の座標は(x,y)で表され、三角関数で表すと(cosθ,sinθ)であらわすことができるのだった
「これはね、23π/6を11π/6+12π/6と分解するんだよ」
「は?」
「つまり23=11+12にするの」
「はえ?」
どうも要領を得ない
「12π/6ってさ、2πだよね。約分すると」
「そうですけど」
「これって単位円での1周分だ」
「それはわかる」
「じゃあ11π/6は?」
「1周分のちょっと手前かな」
「そうだよ、そうそう」
2次元座標では、第一象限、第二象限、第三象限、第四象限に分かつ慣習がある
第一象限では座標が(+,+)で正、第二象限が(-,+)で負、第三象限が(-,-)で正、第四象限が(+,-)で負になることが示される
三角座標が座標軸の正負に影響するのだ
sinθ=y、cosθ=x、tanθ=sinθ/cosθ=y/x
の三角関数において、x軸、y軸の正負を各象限で調べれば自明のことである
このことは三角関数を扱うときによい見通しになるのだった
「単位円は反時計回りに半径を回していくのが決まりなので、中心角が11π/6はどうやら第四象限に来そうだね」
「そうですね」
このように問題の23π/6をいじくりまわすことを経験させたかった。でもこれでは何をやっているのかかえって混乱させてしまう
「もっとわかりやすくしよう。問題の式は24π/6-π/6とも書けます」
「うわ」
「24π/6は4πなので単位円を2周したことでθ=0です。するとーπ/6だけが残るね」
「あ、マイナスがついているからこんどは時計回りですね」
「そう。π=180°だから、これを6で割ったら、θ=30°。つまりーπ/6=-30°のことだよ」
「中心角30°の直角三角形をさかさまにしたことと同じ?」
「そうよ。第三象限の図形ではそうなります。つまり垂線の長さが負になります。これは座標だからです。平面幾何の世界では正の数しか扱いませんでしたが注意してください」
「sin(23π/6)=sin(-π/6)と考えるのですね」
「その通りで、中心角30°の典型三角形は1(垂):2(斜):√3(底)だったね。単位円の円周上の座標で表すと(-1/√3,2/√3)となりますね」
「sinθ=-1/2、cosθ=√3/2、tanθ=-1/√3」
「はい正解です」
「タンジェントは有理化すべきですか?」
「してもしなくてもいいです。模範解答ではしていませんね」
夏休みの課題はこれからも続くのでした