与えられた三角形の辺の長さを求める問題では、補助線の引き方で決まる。
例えば、こんな問題がある。

図形問題辺の長さ
この三角形は、二等辺三角形でも直角三角形でもないようだ。
ただ、二辺の長さと二つの角の関係性だけが与えられている。
補助線を引けばよいとわかっていても、それどう引けばいいのかがが悩ましい。
まず方針を決めねばなるまい。
こういった問題の場合、三平方の定理を使うのか、はたまた初等幾何的に相似形から導くのか迷うところである。
だいたい出題者の意図として三平方や三角関数などの高度な方法を使うと迷路にはまり込むようになっている。
つまり、初等幾何的に解けというのが彼らの意図なのだ。
初等幾何と言ってもバカにしてはいけない。和算やユークリッド幾何こそ純粋な知的刺激を与えてくれるものだからだ。
詰将棋で言えば「最短手順で敵玉を詰める」という基本ルールがあるからこそ、おもしろいのである。

というわけで、相似形をつくるために補助線を引いてみよう。

図形問題辺の長さ補助線
線BDは、∠Bの二等分線である。
すると、△DBCは∠C=∠DBCなのでDB=DCの二等辺三角形である。
そして新たにできた△ADBと△ABCは相似であることがわかる。
∠Aが共通で等しく、∠ADB=∠ABC=2∠C=∠ABC(内対角)となりまた、∠ABD=∠C(角の二等分)であるからだ。
DB=χと置くと、DC=χゆえ、AC=5(題意)よりAD=5-χである。
ここからは△ADB∽△ABCを使って、それぞれの辺の比からχを求め、辺BCを求めていく。
AB:AD=3:5-χ
AC:AB=5:3
3:5-χ=5:3
9=25-5χ
χ=16/5

DB:BC=16/5:BC
AB:AC=3:5
16/5:BC=3:5
16/5×5=3BC
BC=16/3

つまり辺BCの長さは16/3㎝である。(小数で答えないのが入学試験のオキテだそうだ)

この方法なら、初等幾何学の範囲で解答を導けるという例である。

なお「角の二等分線」のCADでの作図は以下の通り。

角の二等分線作図

任意の∠A(∠BAC)を二等分するには、線分ABと線分ACに交点を持つ中心をAとする円を描く。
次に、円Aと辺ABとの交点をDとし、同じ半径の円を今度は中心をDとして描く。ついで、辺ACと円Aの交点をEとして、Eを中心に円Aと同じ半径の円Dを描く。
円Dと円Eの交点Fと点Aを結べば∠Aは二等分され、線分AFは∠Aの二等分線である。