仕事の合間に「第一級アマチュア無線技士」の国家試験の勉強をしているなおぼんです。
もう五十も過ぎると、頭が硬くなっちまっていけません。
ほんとは八月の試験を受けるべく段取りをしとったのですけど、やっぱ間に合いませんでした。
十二月の試験で勘弁してもらおうかな。
介護と仕事、家事をしながらですので、趣味のために資格を取るなんて、脳トレ以外の何もんでもないんですよ。
合格しても「プロ」じゃないですからね、あくまでも「アマチュア」ですから。

で、今日は「バイアス電圧」やね。
能動素子として、トランジスタのことをやってたんですけど、そこで滞ってましたのよ。

トランジスタにはエミッタ、コレクタ、ベースの三本足が出ています。
※四本足のFET(電界効果トランジスタ)についてはまた別の項で(いつになるかわからんけど)

エミッタ接地回路という、ごく普通の増幅回路で見ましょうか。
ベースに入力信号(交流電源)を入れますな。
エミッタ接地回路ではコレクタ側に増幅された波形の信号が出力されます。
これがトランジスタの主たる効果です。

しかしながら、この書き方では「無から有が生じた」ような気がしませんか?
少しの電力を一方から入れて、もう一方から出てきたら大きくなってたって・・・
世の中そんな甘いことはないのです。

そこで「バイアス電圧」が出てくるのです。
バイアス電圧は、エミッタ接地回路の場合、コレクタからエミッタ(接地側)に落とすように流します。
このときにバイアス電流を高めるために抵抗器を挟んでおきます。
これをバイアス抵抗って言います。

言い換えるとね、バイアス電圧ってのはね、弱い入力信号を増幅する(強くする)ための「かさ上げ」電圧なんですよ。
だから、増幅回路にはそのための電源が必要なの。

増幅の程度はね、コレクタ出力電圧V(出)と電源電圧V、バイアス抵抗端電圧V(抵)、入力電圧V(入)としたらね、
V(出)=V-V(抵)と表わせます。
V(入)をゆっくり上げていきますと、ある一定の電圧までは電源電圧Vに等しいままです。
なぜなら、V(抵)=0だから。
ある点を越えると、急激にV(出)は下がりだします。
つまりね、トランジスタはコレクタ・エミッタ間の電圧が低くなるとトランジスタに流れる電流があまり増えなくなるという特性を示すのよ。

この急激に出力電圧が低下する際の「傾き」が増幅率です。
この中央値をバイアス電圧V(b)といい、トランジスタの好適な動作点となります。
入力がかかっていないときはバイアス成分のみが出力に与えられます。
V(入)=V(b)ということです。

この動作点が入力に対して偏っていると、信号の一部が欠けたりして正しく増幅されないことになります。

水を張った、タンクがあるとしましょうか。
ここでは、水が電気の代わりです。
このタンクの水位がバイアス電圧になります。

ここに入力信号を送るとはどういうことでしょうか?
タンクの水面を、加えたエネルギーで振動させることで信号を送りましょう。

もしタンクの水位が低い、つまり入力信号の振幅が大きいとき、水底にまで波の谷が届いて波形が欠けてしまいますよね。
すなわち、入力信号に対してバイアス電圧(水位)が低すぎると、出力波形が欠けて歪(ひず)んでしまうんです。
入力信号の振幅だけを動作点を中心に大きくするのが良好な増幅となるということが言いたかったんですけどね。

このタンクモデルでは、水位で動作点を高低させているだけなので、増幅の再現にはなっていませんが、入力と同じ波形が出力されるというモデルにはなっています。

もうちょっと良い説明ができると、あたしも理解が深まるんですけどね。
まあ、元来化け屋ですんで、こんなところで許してね。